オリックスの伏見が空振り三振した際に、足首を抑えて倒れこみ、
結果アキレス腱を断裂したことがあった。
これがバットに球が当たっていれば、ケガには至っていない。
本人はバットに当てるつもりで振っており、バットに当たればその衝撃で
体は、はね返される。
ところが、当てるつもりが空振りしたものだから、体勢が崩れてしまい、
体が予想していない動きをしてしまうわけだ。
思いもしないひねりが加わってしまったという状態だ。
もう一段あると思った階段がすでに上りきっていて、踏み外した状態とも共通する。
あの時は膝を痛めやすい。
ただ、このケース、振り逃げに走り出した瞬間に痛めたようにも見えるし、
空振りでケガし、一歩目を踏み出す瞬間、痛みが走ったようにも見えた。
本当の理由はわからないが、どちらにせよバットに当たっていればケガはなかった。
こういったケースでケガをしてしまうその他の理由に、スポーツ選手として
張りつめている体が負担させているということもあげられる。
陸上短距離の選手がレース中、足に異常を発してレースをやめるシーンをよく目にする。
毎日、走るための体づくり、走るための練習をしている100メートルの選手が
スタートして数十メートルで棄権するのはどういうことだろうか。
これは、だらしないという話ではなく、逆に100メートルを最も良いタイムで
走る抜けるためにギリギリの体づくりをしているから起きてしまう。
そのレースに照準を合わせ、ギリギリの体をつくって臨む。
体力、筋力を鍛え上げ、ピリピリと今にも切れてしまうくらい
ピークに張りつめている状態にもっていき、緊張感のある中で、瞬発力を効かせ、
短い時間に最大の筋力を使うことから異常が発するのだ。
伏見の場合もこの張りつめた筋肉とそれを作る過程での疲労の蓄積があり、
そこへ、体が予想していない動きを強いられ、異常を起こした
ということも理由の一つに考えられる。
さらに野球選手の場合は野球選手特有の体つきのためケガをしやすいということもある。
野球選手特有の体つきとは、まず、でかい体ということ。
パワーが有利に働くことが多い野球という競技では、脂肪をもつきようが、
体をでかくする。
サッカー選手は、1試合の走行距離が10数キロに及ぶほど走る力が必要だ。
そのため体脂肪率を落とす。
接触プレーがあるので、体のでかさや強さは武器になるシーンがあるが、
それを手に入れるために走るための体を損なっては、
本来必要とされるプレーに支障をきたすので、そこは捨てるところとなる。
野球は、走る能力が損なわれても、パワーを身に着けるプレースタイルを選ぶ選手は多い。
野球選手は1試合の中で本気で走る距離も時間もたかが知れているし、
脚以外の特徴を必要とするシーンは数多くあるからだ。
サッカーの場合はボールは足元にあり、走るということが大前提になるのだ。
野球選手の走るということで必要なことは短い距離を瞬間的に速く走ること。
そのために必要な体では、長距離を速く走ることはできない。
野球選手で長距離を速いタイムで走ることができる選手はいない。
瞬発力を要する野球では、長距離を走るに適する筋肉より
、瞬発力を出す筋肉を持つ者しか一流になれないのだ。
速筋繊維といわれるものだ。
体をでかくする場合もこの筋肉を持つ者がなれる。
遅筋繊維はパワーをつけにくいものだ。
野球選手にとって優秀な筋肉、体格は、長距離を走ることができるようではだめなのだ。
野球に長い距離を速く走る場面はない。
若い頃の松井稼頭央が、キャンプ中、球場から宿舎まで走って帰るシーンを
テレビが映し出していたが、とんでもなく遅いとスポーツ番組が伝えていた。
筋肉マンで、バネのある松井は野球選手としては最高だ。
脚も速い。
しかし、長い距離は全く駄目なのだ。
長い距離を速く走る野球選手は野球の実力がないことを意味する。
一方で、野球選手は短い距離は速い人が多い。
50メートルから100mくらいの距離なら、サッカー選手よりおそらく
野球選手の方が速い選手が多いと思われる。
100メートルくらいになると、それなりの体の大きさがないと、
ゴール付近で体が浮いてしまい、減速が激しくなる。
陸上100mの選手が筋骨隆々なのは、このためだ。
体重が軽いと体が浮き、減速する。
体をでかくする素質がある体は、横に広がる筋肉であり、これは速筋とか、
白身の筋肉ということになり、瞬発力に長けた筋肉となる。
この筋肉は、瞬時の力の入れ所で、パンと張りつめていたものがちぎれやすい、
という性質を持つ。
伏見の場合も、張りつめていた筋肉が予想していない体の動きで
破綻してしまったと受け取ることができる。


