この二度と来ない瞬間を全員が理解して勝利を目指すところに

高校スポーツ最大の魅力があるとした前回。

この独特な魅力は、学生スポーツや中学生以下の生徒によるスポーツとも異なる。

たとえば、応援する人。

先日、高校サッカー開幕戦を観戦したとき、両校の生徒の大きな声援が印象に残った。

私も高校時代、同級生に多くの声援をもらった。

小学生には部活というものがない。

なにかの団体に所属していても、

所属している子供は、学校という別のコミュニティにも所属しており、

他の子供も同様なため人のことを応援しようとはしない。

中学生も同様の仕組みであり、さらに技術が未熟なため大きな大会になりにくく盛り上がらない。

高校は、そこに集う人たちは、その高校を選択し、入学してくる。

同じ空間を共有している友人を応援したいという気持ちになるのだ。

同級生はお互いに必ず知っている。

私立のように、科が多く分かれていたり、部活によっては、全寮制で校舎も違う、

というような場合は、接する機会がないこともあるが、

同じ校舎で生活していれば、

話したことがなくとも毎日、同じ空間を共有するので必ず知っている。

あいつは明るい奴、物静かなヤツ、寄せ付けない雰囲気を持った奴など

話さなくともイメージは持つものだ。

大学ではこうはならない。

膨大な人数で接点があるやつは一部だけ。

知らない人間の方が多い。

高校では、

その友人が、母校の名前が入ったユニフォームを着て戦っている。

しかも、普段と違う表情で、得意なスポーツで勝負している。

そして相手も自分たちと同じ高校生で同じような境遇。

これは応援したくなる。

そして、それは長い人生の貴重な青春時代の一瞬の出来事だ。

この特別な時間と環境により、高校スポーツは

真似できない魅力を発揮することになるのだ。