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固執が生んだ足枷。発想が生むスーパープレー

一昨日からつづく日本の野球システムについてだが、昨日はプロの世界やレベルの高い組織においては常識とされるようなことも、

高校野球では排除されることを記した。

 

たとえば打つことで言えば

ライナーを打つ(鋭い打球を打つ)ということが良い打者だという教えが多かった。

ピッチャー返しか、ショート、セカンドの頭の上に行く打球を打つと褒められた。

 

フライを上げれば頭ごなしに怒られ、大きいスイングをすると

「ホームランを打つ気か!10年早い!」と怒鳴り声が飛んできて

それでもスイングが大きいと

「そんなにホームランが打ちたいのか!」と今度は、ゲンコツが飛んできた。

 

しかし長く野球を経験してわかることなのだが、

ライナーやゴロ、右打ちを小さいころから身につけてしまうと遠くへ飛ばす技術が身に付きにくくなる。

つまり、遠くへ飛ばす打ち方がわからないのだ。

 

小さいころは遠くへ飛ばす打ち方を覚えさせ、

成長する過程でライナーや右打ちを覚える方が技術は伸びるだろう。

大は小を兼ねるという発想だ。

 

小さいうちにその選手のタイプを決めつけてしまうと成長を阻害する。

フライを打つことは、打者としては最悪の結果というのが常識として浸透してきた。

その理由は、

フライにはイレギュラーがないからだ。

 

打球が上がった瞬間、守る方は捕るだけでひとつのアウトが貰えるから。

対してゴロを打てば、

イレギュラーの可能性がある、

スローイングのミスの可能性がある、

ファーストなど送球を受ける側がミスする可能性がある、

打者走者の足が勝る可能性がある、

と、可能性が広がるためフライは打つなと言われてきた。

 

しかし、ポップフライとホームランは紙一重だ。

ホームラン打者はフライを打つ練習をする。

打球に角度をつけ、バックスピンが効いた打球がホームランになるからだ。

 

それがフライになるのは、

ホームランの時より若干ボールの下をたたいてしまい、角度がつきすぎたためであり、

ポップフライになる打球より少しボールの上をたたき、バットをもぐらせ押し込みが効くといい角度で上がり

今度は、ホームランになるのだ。

紙一重だ。

 

これからどれだけ成長するかわからない小、中、高校生に対して

勝利ばかりに重点を置いたり、画一的な指導によったり、選手個々の発想を排除したりすると

その選手の可能性を狭めてしまう恐れがある。

チームとして勝利にこだわる姿勢を覚えるとともに、

選手には可能性をもたせた指導が必要になってくるはずだが、

この日本の野球システムが、こういった固執を生んでいると見る。

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