日本代表のオーストラリア戦で犠牲フライに今宮が本塁生還というシーンがあった。
今宮は滑り込んだものの、ベースに触れることができなかった。
キャッチャーも空タッチだったが、主審はアウトをコールした。
ここで、一度アウトかセーフの判定を下してしまうと、プレーがそこで一旦終わってしまう。
この時は、キャッチャーが空タッチでランナーがベースに触れていなかったのだから
プレーは続いていたわけだ。
アウトがコールされたので、キャッチャーはそこで今宮からは離れることになる。
だから、もう一度タッチに行くこともしない。
キャッチャーの立場からしたら、審判がアウトと言ったからもう一度タッチに行く必要はないよね。
アウトと言われなければ、もう一度タッチに行ってアウトにしてたよ。
間に合ってたよ。
それをあとからセーフと言われたって困るよ。となる。
仮に、セーフと判定していたら、今宮はセーフと言われたからベンチへ戻ろうとする。
そこへ、キャッチャーがタッチに来て、リプレー検証を要求されたらあとからアウトになってしまう。
先ほどとは逆で、今度は今宮が、セーフって言うから離れたんだ。
そうじゃなきゃ、もう一度ベースに触れていたよ。
あとからアウトと言われても困るよ。ということになる。
この場合にすべき対応としてプレーから見た場合とルールから見た場合の2つがあると思われる。
プレーの場合で考えるなら、もう一度タッチに行けばアウトにできると思うときは、
必ずもう一度行く。
そうすれば、リプレー検証になった場合、最後のこのプレーを採用してもらえるからだ。
セーフになってしまう、と思えばアピールに徹する。
そうしないと、タッチに行ってしまったら、空タッチだと自分で宣言してしまっているようなものだからだ。
ルールの場合で考えるならホームクロスプレーはアウト、セーフ、のコールを
審判は一切しないで全てリプレー検証にするか、ということ。
審判がアウトかセーフか、コールしてしまうと、選手はそこでプレーを止めてしまうか、
次へ移ってしまう。
すると、この時のプレーのように、本来はまだインプレー中だったものに、
一旦判定が下されてしまう。
プレーが中断してしまった一件をリプレー検証することになり、
その後、どうなっていたかわからないのに決断しなければいけないという問題があるわけだ。
2016年、巨人―ヤクルトの開幕戦では、巨人はクルーズの打球、ヤクルトは山田の打球を
リプレー映像で確認をした。
判断が難しいホームラン性の打球は、審判が例えホームランだと思っていても
インプレーを指示した方が保守的となる。
ホームランと判定してしまうとその時点で走者も守りもプレーを中断してしまうから。
そのあと、ホームランでなかったとなってもどの時点に戻るか、判断が難しくなる。
プレーを続けていたら中継プレーを失敗していたかもしれないし、
走者が転んでいたかもしれない。
だから、見直しの機会がある今は、こういう場合はインプレーを指示しなければいけないことになる。
インプレーでプレー続行としおき、そして、プレーが途切れたら、
タイムをかけ、さあ見直してみましょうとするわけだ。
2015年9月12日の阪神-広島戦では、三塁打とされていた広島・田中の打球が
試合が終わってから本当はホームランだったというケースがあった。
この打球がサヨナラホームランであったのなら、結果が出た後でも覆し、広島勝利とすることが出来る。
ところが、このホームランは表の攻撃で出てしまった。
つまり、その後も試合は続いたわけで、そこへの影響は、終わった後では誰も手を加えられない。
もう一度やり直さなければならなくなる。
それは出来ないので誤審と認めても謝罪するより方法がなかったということがあった。
試合の勝敗に影響がないか、または影響してもそのプレーだけで勝敗が完結する場合だけが
後日、判定を覆すことができるということになる。
あの打球がサヨナラホームランだった以外は、広島の勝ちとするわけにはいかない。
審判はリプレーがある前提で判定する姿勢へと変更した。