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ドラマを見せるためとなってしまったドラフト制度 再録

ドラフトは、もうそれ自体がプロ野球のひとつのコンテンツ、いわばファンサービスのイベントだ。

ファンが会場に入ることができ、始まる前は12球団入場なんてのもあるくらい。

笑わせられる。

スポンサーはドラフト会議を応援するとまで言ってしまっている。

 

ドラフトが行われる理由は、戦力均等と年俸高騰阻止という、

どちらもプロには必要ない理由のもので、プロの都合で設けられたものだ。

プロに均等化などというものが必要か。

 

ところが、若い選手たちの人生をプロ側の会議と抽選で決めるという無茶によることで

数奇な運命が生まれる人間ドラマとなり、ドラフト会議そのものが巨大コンテンツになってしまった。

もう、これだけでお金になるエンターテインメントだ。

 

ドラフトは思惑通り進まないので人生が大きく変わることになる。

まさに運命で、この時、こうじゃなかったら、あーなっていたらという話は尽きない。

やる前からファンやマスコミが予想し、結果をもっても話題にでき、

当事者である球団も当日どうなるかわからないという代物だ。

 

職業選択の自由、プロは金で強くなっていいという当然の理屈を平気で無視しているドラフトが

多くのドラマを生み出し、毎年ファンをドキドキさせる。

だから、やめようという声が上がってこない。

 

マスコミが煽ることで、感動や驚きを貰おうとさえしている。

このドキドキドラマは、矛盾をはらみながらもやめられないのだ。

 

そんな金儲けのネタとして重宝するマスコミや

ヒューマンドラマを楽しんじゃおうとする傍観者とは裏腹に、

ドラフトは指名される側の当事者にとってはたまらない。

 

巨大コンテンツとなったドラフトはなくならない。

MLBがこの制度を採用しているから、こんな心強い後ろ盾はない。

野球発祥の地で採用され、さらに自由と平等を標榜するアメリカで採用されている制度が

違法であるはずがないという。

 

日本の野球はいつもアメリカの制度の追従だから。

ドラフト、FA制度、2リーグ制、クライマックスシリーズ、ボールカウント、リクエスト制度。

野球だけに限らず、アメリカの仕組みには唯々諾々と従うものだ。

 

戦力均等など計らず、努力を積んで劣っていたプロの潜在能力で覆すことがあれば、

ストーリーがあっておもしろいはずだ。

評価が低くともプロになれるほどの実力があるものが覚醒し、

強者に勝つことなど十分可能であり、それこそがスポーツの真髄だ。

プロはそこを見せることの方に価値があると言ってもいい。

 

ドラフトにより規制して戦力を均等させ、接戦を演出するより

はるかにおもしろい戦いのドラマが観られそうだ。

 

チームの編成力やチームの育成力で勝負したり、

選手の、強いものにでも勝ってやるという気概で勝負したりが本来のプロの世界のはず。

 

そして、プロはお金で強くなったっていい。

FA制度は金で強くなる制度だ。ドラフトの建前と真っ向、反する。

 

そして、お金で選手を買ってきても、勝負事は必ずしも勝てるとは限らない。

かつて巨人はそうして負けてきた。

 

商品としてまで成長してしまったドラフト制度だが、

こうなることを予想して取り入れられた制度なのだろうか。

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