久保田は松坂世代の選手の一人。
野球界をけん引した松坂世代も30歳を過ぎ、
引退の選手が多くなり、残っている選手もピークを過ぎた状況だ。
松坂は今年が勝負の年になる。
高額の契約で日本に復帰し、
時代をつくったスターとして結果を出さなければならない瀬戸際という立場である。
久保田は高校時代、キャッチャーだった。
甲子園出場時は、背番号2をつけマウンドに上がっていた。
それが、大学へ行き、投手として開花したのち阪神では
「絶対のセットアッパー」というポジションで登板数を重ね、不動の地位を築いたのだ。
登板数の多さも、もろともせずチームを勝利に導いてきた久保田に
タフネスというイメージをファンは持ったことは記憶に古くない。
ピーク時には、勝利の方程式の一角を担った選手ですら故障が起きたり、
調子を崩せば数年後には引退に追いやられるプロの世界。
しかし、高校時代はキャッチャーであったにもかかわらず、
ピッチャーとして1流になることもあるプロの世界。
この相反するような現象も
その選手の人間ドラマ、人体の可能性、運動の定理として考察したときおもしろさが増すのである。