高校スポーツ最大の魅力、
二度と来ない瞬間に賭ける。
それは長い人生の貴重な青春時代の一瞬の出来事。
この特別な時間と環境により、
高校スポーツは、真似できない魅力を発揮している。
プロは来年がある。
クビを切られる瀬戸際にいる選手に来年は保証されていないが、
こういう人たちはそもそも、集団スポーツにおける勝利を目指しているのではなく、生活のため、
自らの野球人生のためにやっているので貴重な青春時代の限られた時間を賭ける高校生とは
意味合いが全然違う。
藤川は以前、こんなことを言っていた。
藤川は高校時代、甲子園でピッチャー藤川、キャッチャー藤川兄という兄弟バッテリーでの
試合出場を果たしている。
その時のことを
「こんな幸せな瞬間はない」
と語っている。
プロで脚光を浴び、大観衆の声援を受け、海外のマウンドにも上がるほどのピッチャーが、
最高に幸せな瞬間が甲子園で兄とバッテリーを組んだことと言っているのだ。
しかもこの時は、試合に負けているにもかかわらず。
高校スポーツは同級生、郷土、家族という人間愛の根本が土台になっているので盛り上がるわけだ。
また、これをテーマにそれぞれの高校や選手にスポットをあてると土台が愛情であるため、
ドラマのスタートが愛で構成しやすくなる。
すると
日本人の琴線に触れるドラマになりやすい。
さいなまれた状態から日のあたるストーリーが作りやすく
いつまでも色褪せないこととなっていく。