斎藤が殿堂入りしたことで、その足跡を振り返ったとき、斉藤の引退は早すぎた。
という話をしたのが昨日のこと。
今週は、このプロの引き際について触れていこう。
もう、時代が過ぎているのに気付かず、続けることに固執するプレーヤーは醜い。
プロの世界は、仕事である以上にエンターテイメントであり、華やかな世界である。
やせ我慢でも強がってでも、かっこつけることが必要だ。
昨年、同じようにあっさり引退を決めた井端も見事だった。
その理由が、
「ヨシノブより長くやるつもりはない。」
というもの。
現役を続けようと思っていた高橋が、引退し、監督受諾の決断をしたことから、
その助けをしようと自らも引退したのだ。
この時、巨人はまだ井端を戦力として考えていた。
高橋と井端は同い年。私の一つ下になる。
私の一つ下の最も有名でスターなのは高橋だ。
高橋は、神奈川の名門・桐蔭学園で1年生から3番を打った。
1番は高木大成(西武ドラフト1位)、4番は、副島(ヤクルトドラフト5位)というスター軍団だ。
高橋はその後、慶応に進み、六大学本塁打記録を達成。
巨人ドラフト1位でルーキーイヤーから3割をマークした。
これ以上ない程の絵に描いたような野球エリートだ。
だから、井端は高橋を意識していたのだ。
ちなみに、高橋は新人王を獲得していない。
新人王は大学時代から何度も対戦していた川上が獲得した。
大学時代、川上から打っていた高橋もなぜか、プロに入ってからは川上に抑えられっぱなしだった。
ルーキーイヤーのシーズン終盤、やっと川上から初安打を放ち、それが本塁打だった。
対川上とは、その年22打数1安打だった。
その同学年で常にスターとして輝きを放ってきた高橋をずっと意識していた井端。
井端は東京の名門・堀越から亜細亜大学→中日と進む。
体の小さい井端は、プロで長くやれる確信はなかったろう。
高橋の存在を常に意識していたがために、高橋の大きな決断に対して、
2000本安打目前にもかかわらず、
「ヨシノブより長くやるつもりはない」の一心で引退を決めた。
額面通りなら、見事な決断だ。
斉藤は200勝目前、井端は2000本安打目前で引退の決断は見事。
私が、小さい頃のヒーローにタイガーマスクとBOOWYがいる。
この2者も引退は突然だった。
プロの世界はこれがかっこいい。
惜しまれつつ、辞めることでレジェンドとなっていく。
山本はレジェンドでない。
時代が過ぎているのに長くやることに固執した駒田、工藤、中村、下柳はその実績にもかかわらず、
寂しい引退を迎え、醜く映ってしまう。
松中もそうなろう。
ところが、工藤は斉藤と一緒に殿堂入りした。
殿堂入りは、公認のレジェンド入りということ。
工藤はレジェンドになっちゃった。
さらに、プロの引き際からレジェンドについて明日から触れていこう。