スポーツ界の業界用語、隠語が一般の生活にも浸透することが多い。
今では、普通に会話の中で使われる言葉も、もとは業界用語という場合がある。
・秒殺
今では、世間一般で、
あっという間にケリをつけてしまうこと。すぐに結果がでること。に使う。
または、希望していたこと、やろうとしていたことが瞬時に絶望に至ること。
たとえば、すぐにチケットが売り切れてしまったり、
愚問をした人をあっという間に論破してみせてしまったりとか。
もともとは、20年前くらいにパンクラスという格闘技団体が、
瞬時に終わる試合展開を、初めて格闘技ファンの眼前に実現させたことから
マスコミがその戦い方を「秒殺」と表現した。
それまではプロレスの戦いは数十分から1時間におよぶことが普通だった。
パンクラスは、明らかに違う戦い方だったため実際には数分かかっても、これも「秒殺」と表現した。
・ガチ
本気、真剣といった意味で使われている。
または、「ガチうまい」とか言うと、超とかすごくとかの意味になる。
もともとは、相撲やプロレス界での真剣勝負のことを
「セメント」と言った。
プロレスはショーアップされたことで、この言葉が隠語となった。
プロレスでは真剣勝負、本気の勝負を「セメントマッチ」という。
真剣や本気は固いとも表現できる。固いといえば、真面目とかおふざけなしという印象だ。
セメントは硬い。そこから硬い(固い)=ガチガチ、ガチンコとなったわけだ。
この「ガチンコ」が「ガチ」となって、今、一般の生活で使われることになった。
ちなみに真剣勝負のことを「シューティング」ともいう。
ガチンコは古い隠語だったのだが、表舞台に引っ張り出したのが
今から30年以上前にプロレス界に起きたムーブメント・UWFだ。
前述の「秒殺」を生み出したパンクラスも、もともとはUWFというプロレス団体から派生した団体だ。
UWFがそれまでのプロレスの戦い方とは一線を画し、
キックと投げ技と関節技で競う戦い方を我々に提供した。
いわゆる「打・投・極」といわれるものだ。
このUWFの戦いによりプロレスファンは
本当の戦いは、一瞬で終わってしまうことがあることを知った。
関節技は極まってしまえば、はずせないということを知った。
今の格闘技に向かう
K-1やプライド、UFC、総合格闘技という流れをつくったのは
UWFの影響がとてつもなく大きい。
これが出発点と言ってもいい。
UWFがつくったムーブメントは今後、連載していく。
・とったどー
今ではタレントのよいこ・濱口が人気テレビ番組で頻繁に使ったことで
一般の社会でもなにか賞をとったり、欲しいものを獲得すると
「とったどー」とそのものを高く掲げ、雄叫びをあげ、喜びを表現する。
もともとはアントニオ猪木がエジプトだかの中東で
海外殺人マッチ遠征を敢行した際の出来事だ。
完全アウエー、観客全員敵の中、殺されるかもしれないという興業を行い、
逆境を克服、相手のレスラーの腕を折り勝利をおさめる。
このときに叫んだことばが
「折ったぞー」だ。
これを 猪木のファンであるナインティナイン・岡村が
もともと何言ってんだかはっきりわからない猪木の真似をして
「折ったどー」とやった。
このパロディを、よいこ・濱口がパクリ、テレビ番組で魚を獲ったとき
「とったどー」と言い、今では一般の会話にも登場することになった。
これはもとは猪木のことばなのだ。
「折ったぞー」が「折ったどー」になり、「とったどー」になったのだ。
他にもあるから次回へ。