キャンプも中盤へ向かおうとしている。
落合がプレーヤーの頃は、キャンプに入ってからしばらくバッティングをせず、
長距離を歩いたり、守備練習をしたりで、いつバットを握るんだと、
キャンプのひとつの風物詩になっていた。
取材陣が、「いつ頃からバッティングをするの?」と聞いても
「まだ。」と答え、じらしていた。
落合が言うには、下半身ができていない状態でバットを振ってもフォームをおかしくするだけ。
だから、下半身をつくってからということで、長距離を歩き、ノックを受けることで下半身をつくっていた。
また、下半身ができれば、バットは振らなくても打てるとも言っていた。
そして、ターゲットはあくまで開幕に向けていたため、オープン戦などでも
球筋を見るだけとかに費やし、結果にはこだわっていなかった。
それでも、開幕に合わせるために綿密な調整を計算し、雨が降っても
その日にすべき事は必ず、遂行しようとする姿勢が見えた。
ある雨が降った日に、その日の練習を遂行しようとする落合に、群がる取材陣が
「こんな日もやるんですか。」
「計算してあるから。これくらいのことでやめられないよ。」
と散歩に出掛けた。
そして、キャンプの中盤頃は、遅い球を打っていた。
「遅い球を打てれば、速い球は打てる」とか言って、さっぱり意味が分からなかったが、
今、理解すると遅い球を遠くに運ぶことは難しいので、
遅い球を下半身、上半身と体をイメージ通り使って飛ばすことができれば、
調整はうまくいっているということになり、体ができている証明になる。ということだったのだろう。
それができれば、速い球は反発で飛んでいくので、
あとは、その速い球に目が慣れ、反応ができれば、調整完了ということだったのでは。と思える。
そんな落合の独特な調整を明日もつづける。