スポーツの起源は競技によってそれぞれだろうが、遊びの中から発展したり、生活の
中から発展したり、戦いの中から形式を変えたり、と言ったことはよく知られる。
そうして生まれた競技をやっていくうちにルールを整備し、人間の体の性能に合わせたり、
やる方も観る方もおもしろいように工夫したり、となっていく。
野球の他の競技と決定的に違うことが2つある。
まず、何と言っても、競技場の広さに決まりがないということ。
他のどんな競技でも、それを行うスペースに決まりがないというものはない。
この冷静に考えると、最も不思議なことは後にして、2つ目はエースの存在ということ。
どんな競技もエースと呼ばれるそのチームの主戦は、得点能力に高い人間のことを指す。
野球だけが守りの主戦、つまり点を獲る人間ではなく、点をやらないピッチャーの事を
エースと言う。
さて、先の球場の広さ。
競技のルールを決める時、だいたいその大きさから決めそうなものだが、
それに規定がないのだからおもしろい。
野球はダイヤモンド内の距離は決まっている。
ピッチャープレート位置と塁間は決まっている。
しかし、球場の広さには決まりがない。
それなのに、毎年ホームラン王を決め、通算ホームラン数で優劣をつける。
マラソンの記録は新記録とは言わなかった。世界最高記録と言っていた。
各所で行われるレースによって、高低差やカーブ量などで条件が全然違うから
最も良いタイムを世界最高記録としていた。
世界最高記録保持者が最強ではなく、良いタイムで走ることが強いのではなく、
時々の権威あるレースに勝つ者が最も誉れ高くなる。
ドームなら球は飛びやすいし、風が強い地域のスタジアムは飛ばない。
しかも、野球は道具の介在が多いから、ボールの性能やバットの性能でも大きく
変わってくるはずだが、それらは無視だ。
ボールが変更されたことで無回転シュートが生まれたサッカー、厚底によりタイムが縮められた長距離走、
水の抵抗を抑えた水泳のレーザー・レーサーと道具が変わった途端、競技性に変化が起きるものだが、
野球は道具の数が多いだけに変化も大きくなり、そこへ競技場の大きさが違うのに
数を競っても、その優劣を素直には受け入れることはできない。
ただ、ホームラン数は競うところの本質ではなく、あくまでチームで勝ち負けを
競っているので、その数はどうでもいいともいえる。
野球の他の競技と決定的に違うおもしろい決まりの話。
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