山田はオープン戦で、自身の調整具合を計る目安として落合に「シンカー打ってくれるか」
と言っていたと聞いた。
山田と落合は秋田の同郷であり、プロ入り前から旧知というわけではないだろうが、
プロとしてはお互いに実力を気にする間柄だったのだろう。
一流となった同郷の後輩打者を気に掛け、そして奴の打ち具合によってその後の調整に利用した。
落合は長く、山田を打ちあぐねていたとされる。
落ちるシンカーを下からすくい上げようと打ってきたが、ある時、逆に上からつぶすように
打つことをひらめいた。
その打席でヒットを打って以降、逆に山田を打ち込んでいく、というドキュメンタリーを記憶している。
山田の200勝がかかった試合で落合は3ホーマーしている。
清原はルーキーイヤーに山田からセンターオーバーのホームランを打った。
天下の大投手からルーキーが完璧に打ち返したことで新時代の大物誕生を誰もが確信した。
その時の山田の言は
「俺が入団した頃に生まれた子よ。そんな子に打たれて、辞めたいわ」だった。