5分30秒の差はさすがに想定外で5連覇は一気に暗雲となった。
想定外で暗雲だが、復路でも往路と同じような距離、さらに少し長い距離を走るのだから、
つけられた差が不可能ということはないわけだ。
昨年は復路のタイム差は5分半近くだった。
これを再現できれば逆転という青学にとっては明るい材料、東洋大にとっては安心できない材料だ。
各自が自分の力を出して、追いかける方に幸運と先を行く方に不運があると、駅伝は逆転がある。
想定外はいわゆるブレーキによって起こるわけだから、不運とはブレーキのことで
相手の不運は期待しないが、ベストを尽くした結果、幸運がもたらされ、不運が訪れたのなら
それは勝負だ。
ベストを尽くすとは、戦前のプランを実行するということ。
復路には絶対の自信をもつ青学。
往路も復路も優勝していた、それまでの過去3年から昨年はついに往路を譲り2位。
2016年は全区でトップを譲らない完全優勝し、2017年は三冠を達成。
往路優勝を譲りながらも2018年は総合で大会新の10時間57分39秒。
結果を見ると、歴代最強ということだった。
6区で15秒を縮めた青学。
7区の東洋大が苦しい走りとなった。
2位を走る東海大が1分8秒あった7区での入りを8区の中継所までで一気に追いついてしまった。
7区の区間賞は自身の区間記録に迫る快走で青学の林となった。
青学は8区中継所でトップとの差が3分48秒差。
8区で並んだ東洋大と東海大の10㌔の持ちタイムに40秒くらいの差があるので東海大有利の中、
前半、東海大は後ろにつく作戦に出た。後ろにつかれた方は苦しい走りになる。
ただ、首位争いをしていればいいというわけではない。
後ろからは猛然と追い上げる王者・青学のことも気にしなければならない。
東海大の監督がとった作戦はピタリとつくというものだった。
青学は1年生が突っ込んで入り、駆け引き中の東洋大と東海大との差をどんどん縮めてきた。
青学は昨年、エースを8区に配置した。エースが8区などとは、これまでは考えられない戦略だ。
要は、10人の合計タイムが一番短くなるようにする。
それには、コース適性や性格がある。これまでは2区にエースを置くことが通常だった。
今はタイムがかかり、一気に差が開いたり縮まったりする山登り5区にエースを持ってくる作戦もある。
他のチームのあいつにぶつけたいとか、午前の早い時間が得意な選手などというのもあるかもしれない。
その去年のエースに劣らないと言う1年生が8区を走る青学は駆け引きの東洋大と東海大を
追い上げるのかと思ったら、実は首位争いの2チームも快走だった。
青学は前半のツッコミが響いたか、実力通りだったのか、
終わってみればトップとの差が開いてしまった。
8区終盤スパートした東海大はなんと実は区間新の走りだったのだ。これで優勝は東洋大か東海大に
絞られたか。
青学は東洋大に往路でつけられた5分30秒差を復路では逆転した。
しかし、4分16秒だった東海大との差は8区の区間新で勝負が決まり、結果、3分41秒まで縮めるにとどまった。
つまり、100㌔以上を走って、その差は35秒しか縮められなかったということだ。
2年連続で4区、5区で遅れを取ってしまった青学。
昨年は、余裕で取り返したが、今年はさすがに厳しかった。
2年連続で不満の区間を出したので、来年はきっとここを挽回、さらに借りを返しに来る戦いをするだろう。
総じて東海大のレースメイクがうまく行ったと言えよう。
区間新記録がよく出た今年の箱根。
往路は上位2チームの東洋大と東海大が新記録。復路は上位2チームの青学と東海大が新記録。
総合も東海大と青学大が新記録。
往路優勝が東洋大、復路優勝が青学、総合で東海大と分かれ、東海大は往路、復路、総合で
今までの記録を上回るという快走にもかかわらず、往路と復路で優勝できないという
珍しい95回大会となった。
気候が良く走りやすかったのだろう。シューズの進化というか改造も影響しているに違いない。
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