インターハイ中止の憂き目にあう高校生は、気の毒だ。
観ている方は毎年のように恒例行事として捉えるが、やっている方は一度のチャンスだ。
高校生の、この瞬間しかない。
インターハイなんてなくても死にはしない。
だが、青春真っただ中で情熱を燃やして、人生の豊富な経験を手に入れられるのは、この時しかない。
情熱を燃やしてきた選手にとっては、絶望に等しい。
ここまでにたてた目標に、専心してきたのに目前で取り上げられた悔しさは想像するに辛い。
団体競技なら同じ目標に同じ時間を共有した者同士が、実践を経ぬまま別れを告げられてしまう。
この人間のつながりは大舞台をもって完結し、より一層の経験と教育がなされると思う。
スポーツという遊びを凌駕して胸にしみるはずだ。
人間としての成長にスポーツを利用し、大きく成長する。その集大成であり、最大の効果を施す
大会がなくなってしまっては完結しない。
大会が開催されたとしても、ほとんどが敗者となる。
敗者となると、悔しさから泣き崩れ、それは本当に立てないほどの悔しさだ。
その後には今まで一所懸命やってきたのにいきなり終わりを告げられることに
人生最上級の虚脱感、脱力感が襲ってくる。
だが、それも、その選手のこれからの糧になる。
今回はその悔しさも脱力感も感じる機会すら奪われてしまった。
高校生活という、限られた二度と戻らない時間の中で行われること、
味方も相手も同世代の人間で行われること、
考えも体も未熟だが、多くの時間をそこへつぎこむこと、
大人の感覚も持ち合わせてきて、とても感受性が高く、吸収力のある時期に入魂すること、
という、このような境遇は人生の中でこの時しかない。
王は、プロ野球はもういいが、高校野球は、もう一度やってみたい。と言った。
それだけ人生に影響を与える、貴重な時間であり、経験なのだ。
選手は、勝ちの喜びも敗けの悔しさも、集大成にて気持ちを発散し、同時に気持ちの整理をつけ、
存分にこの雰囲気を味わい、大舞台の最高の空気を満喫し、自分の青春を爆発させて、次のステップへ進む。
高校野球はどうなるだろう。
春は中止でも、まだ次があるから希望を持てた。
夏も中止となれば、日本に根付いた高校野球文化を鑑みると、いよいよ大変な事態と印象付けることになる。
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