今年から小笠原が中日でプレーすることになった。
ここ数年、巨人では出場機会に恵まれず、あの独特な打棒が影を潜めていた。
そこへ日ハム時代に共にプレーした過去がある落合が中日のGMに就任したことで
もう一度その打棒を復活すべく、移籍となった。
報道によると統一球が導入され、その飛ばないボールに悩まされ、
打撃の調子を落としたと伝えられていた。
小笠原の場合、守備力や走力は高校生でも上がごろごろいるので
評価を上げるには打撃の復調=選手力の復調となる。
したがって打棒を復活させなければならない。
数年前までは日本でNO,1の打撃技術と言えるほどのものだった。
もうすでに40歳を超ているが、いわゆる加齢による技術やきれの衰えはないように思われる。
近年引退を決めた好打者たち。
たとえば
立浪、金本、小久保あたりは、明らかにプロのレベルでなくなり引退した。
また、松井秀もゴジラとは程遠い内容になり引退を決めた。
そして宮本、前田智あたりもそろそろ引き際だと思っているところに昨年引退を決めた。
今、現役のベテランである松井稼、井口、井端も長くはないように映る。
しかし、小笠原はまだやれると思う。
巨大戦力の巨人でなければもっと出場機会も増えると思っていたところにこの移籍だ。
小笠原はフルスイングといわれ、大きなスイングをしていると思われているようだが、
実はまったく逆なのだ。
フルスイングの印象は、
フォロースイングが大きいからそう見えるだけでトップからインパクトまでは実にコンパクトに出てくる。
最短距離で出てくるというよりは体の体重移動と回転だけで
バットは振っていないともいえるようなスイングだ。
これは非常にまれな打ち方で小笠原独特のものと言える。
これは下半身が強いからできる打ち方で
ボールをバットに当てるにはとても確率が高くなる打ち方といえる。
小笠原は高校時代ホームランを打ったことがなかったそうだ。
それがここまでのスラッガーになるものなのか。
私の千葉出身の友人に聞いた話だが、
小笠原が在籍していた暁星国際高校は、当時、割と新興の野球部だった。
野球部は自由な雰囲気で髪も長め、部員の素行は評判のいいものではなかったそうだ。
その中で新興野球部の暁星国際が勝ち上がっていった。
千葉では評判のよろしくない暁星国際を甲子園に行かせたくないという雰囲気が高まり、
決勝で成田高校が暁星国際を破り、周りはほっとしたんだとか。
ホントかなあ。
小笠原の打撃技術はお手本にしていいものであり、
打撃論を構築する上で、貴重な材料たるものだから、もっと出場機会が増える事を望み、
また、卓越した打撃技術であることを証明するためにも
40歳を超え、復活するという稀有なストーリーを球界に残して欲しいものだ。