以前この場で野球選手が引退を決める理由を3つあげたことがある。
加齢というのは実は、言い訳であることが多い。
最も大きな理由が怪我のおかげで練習量が制限されたり、プレーの質を落とすこと。
2つ目が、レベルについていけなくなったこと。加齢による衰えではなくて
実はレベルの高さについていけてないということ。
そしてもう一つの理由が、新戦力に同等かそれ以上の選手が現れる、
もしくは同等以上の選手が育った。ということだ。
これに加齢による劣化が加わる。
古田は38歳くらいから引退を意識したそうだ。
曰く、見える景色が変わる。だそうだ。
走っていても、遅くなるので見える景色が変わる。
2塁へのスローイングもこの高さで届いていたものが、少し上に弧を描かなければ届かなくなる。
これはプロの世界ではちょっとしたことでは済まされない。
それは、長年、プロで生活していれば、少しずつ全体のレベルが上がって行く。
体も周りの若手の選手はでかくなり、球は速くなり、飛距離は伸び、肩が強くなり、スピードが速くなる。
その中で自分のレベルは落ちていく。
そこへ、毎年、いやシーズン中においても新戦力が入ってきて、新しい個性が登場することになる。
レベルが上がった世界の標準選手の肩は、古田が全盛期の時よりも上ということになる。
その生き生きとした選手の肩と落ち込んできた選手の肩が描く2塁スローイングは明らかな差となる。
盗塁を許す差で言えば、10や20じゃ済まないかもしれない。
相手が盗塁を試みる数から変わるし、相手ランナーのリード1歩も変わってくる。
それが、失点するか、防ぐかにつながり、チームの勝敗をいくつも変える可能性がある。
決定的な差だ。
老兵は去り行くのみ。
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