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しみったれたホームラン 気にいらねえ

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ロングティーがメニューに多く見られるようになったプロのキャンプ。

トスされた球を遠くへ飛ばす練習なわけだが、これによりバットに乗せる感覚を養う。

トスされた球は緩いので反発がなく、飛んでいかない。

そんな球を遠くに飛ばすには技術がいるのでこれを繰り返すことで、それが身について行く。

 

これは、ノックでも身に着く。

外野ノックを繰り返していると、バットに乗せて飛ばす感覚が身に着き、実戦のピッチャーの球を

打った時も放物線を描く打球を打てるようになり、打球の質が変わってくる。

 

落合はベテランの域に入った頃、キャンプ序盤はバットを握らなかった。

長い距離歩くこと、ゴロのノックを受けることと、下半身を作ってから打撃に取り組んでいた。

毎年、落合がいつバットを持つか、ということを取材することが恒例だった。

 

そして、バットを持ち出すと、フリーバッティングでは緩い球ばかりを打っていた。

緩い球が打てれば、速い球は打てると意味がわからない発言だった。

緩い球を打つ体と技術が確認できれば、速い球は目が慣れさえすれば、対応するだけで

勝手に飛んでいくという意味だったのか。

 

その落合はホームランを打つのにボールの下にバットを潜らせてバックスピンをかけて

角度をつけることを提唱している。

最近は常識的にこの打ち方を皆が練習するようになり、特にホームランバッターはこの打ち方を

意識する。

 

ホームランを打つための打球は、角度をつけるためにボールの下をたたくわけだが、

これが、少しズレて下すぎると、今度はポップフライになってしまう。

フライは、イレギュラーがないので

打球が上がった瞬間、守る方は捕るだけでひとつのアウトが貰えるから

打者としては最悪の結果という意識がある。

しかし、ホームランを打つには打球を上げなければならない。

外国の屈強な選手はわざわざ角度をつけるなどとしないで弾き返すだけでフェンスを越えていくが

体が成長途上の未成年や体が小さい選手がホームランを打とうと思えば、角度がいる。

そういう打球を打とうとするとわずかなズレでポップフライに終わってしまうリスクを伴う。

 

漫画・ドカベンで巨体の犬飼武蔵が泳がされ、体が前に行き、かろうじてバットに当てた打球は

フラフラと宙に浮いた。武蔵はそのまま前につんのめるように倒れた。

誰もがポップフライと思い、打ち取ったと思った打球は武蔵の怪力でフェンスを越えてしまった。

この打球に武蔵は「しみったれたホームランだ。気に入られねえ。」としていたが、

今のホームラン打者が身に着けようとする打球は、こういう打球で、崩されても

バットに乗せ、角度をつけるところに極意がある。

 

武蔵はしみったれと言ったが、実は良質なホームランとなり、

ホームランの確率を上げる打ち方だ。

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