桑田を投手チーフコーチに昇格させた巨人。
その桑田は今季投手陣の実践入りを遅らせ、紅白戦の時期も遅くなるよう提言している。
ゆっくり調整ということだ。
桑田は自身がプロ入りした時も1年目から1軍でどんどん投げるよう意気込んではおらず、
寒い時期は肩を使わず、活躍したのは2年目からだった。
プロで長く活躍できるよう計画立てたということだ。
理論派とされる桑田を如実にあらわし、しかもこれがあるからそう呼ばれるようになった
原点となる行為だ。
高卒の若造がよくそういう態度で臨めるものだと感心させられる。
高卒からプロ意識が高く、長く野球をつづけるためにはどうするか、長く活躍するためにはどうするか、
ということについてすでに自分の考えを持っていたことになる。
高校時代もいろいろ球種を持っていながら真っ直ぐとカーブだけを使っていたそうだ。
高校野球を真っ直ぐとカーブで抑えられなければプロでは通用しないという考えがあったとも聞く。
理論派とされる桑田の言で納得させられたのがオーバースローについての概念だ。
ピッチャーがオーバースローで投げる時、肘を高く上げリリースの地点を高くするというのが
一般的だったものを腕を高くするのではなく、体をやや倒すことでオーバースローになるというもの。
腕は肩から下へ伸びている。
それを直立の状態で腕を高く上げるのは不合理だ。
最も力を伝えるには不自然な動作となってしまうわけだ。
だから、体を倒すことで肩から伸びる腕が自然な形で直線になるように投げればいい。
またゴロを両手で捕れ、という指導については、グラブが粗悪だったころの話で
昔は両手で捕らなければキャッチがままならなかったからそうしなければならなかった、と言う。
品質の良くなった現代のグラブでは充分片手で捕れる。
目的はアウトをとることだから、キャッチするだけでは終わらない。
片手の方が捕りやすく、リズムよく、早く、アウトが獲得できるなら、
そっちを選択する場合もあるということだ。
これは何でも丁寧に、着実に、大それたことをせず、コツコツというのが美徳とされる
いかにも日本的な考えにもよるものだ。
片手でのキャッチはてきとう、いい加減、かっこつけ、という印象を受けるため、
叱り対象となりやすいのだ。
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