野球選手で長い距離を速いタイムで走ることは自慢にならない。
というより、プロ野球選手という野球技術の最高峰にいる人で長い距離を速いタイムの持ち主はいない。
身体の成長過程の高校生くらいまでは長距離をそれなりに速く走ることができる選手はいる。
そういう選手が野球で高い実力をもってチーム力を上げる、チームに貢献したいと決めたのなら
身体を成長させることに重点を置くことになる。
すると、長い距離は速く走ることができなくなる。
タイム自体は身体が成長しても伸びることがあるだろう。
だが、成長期を過ぎ、野球の実力を伸ばすために大きくしようとすれば、長い距離のタイムは伸びない。
長い距離を速く走るには小さく、細い方が有利だからだ。
というより、脂肪がなく、細い身体でしか速いタイムは獲得できないし、
速いタイムを獲得するための修練をつづければ、そういう身体になっていく。
野球とは真逆の修練なのだ。
野球能力を伸ばそうと思えば、身体を大きくする。
それは自身の体質と相談し、自身のプレースタイルに合うように身体をつくるということだ。
むやみに大きくすればいいというわけではないだろう。
したがい、野球選手としての成長は陸上中長距離選手の体づくり、身体つきとは逆行するものだ。
野球に長い距離を速く走る場面はない。
長い距離を速く走る運動能力は、むしろそれは野球能力のなさを意味する。