数年前のシーズンの開幕2戦目のこと。
巨人がスリーボールから一塁ランナーを走らせ、投球がボールというシーンがあった。
キャッチャーの梅野はストライクとコールされた時のために二塁へ送球した。
しかし、ボールなのでフォアボールとなった。
一塁ランナーは歩いてでも二塁へ進む。
すると二塁手の上本は、体を張ってショートバウンドの送球を止めに行った。
インプレーの状態なので逸らしてしまえば、ランナーの三進を許すことになる。
したがい、この場面では、タイミングが間に合ってもアウトにはならないのだから
二塁ベースカバーはグラブに収めるか、送球を前に落として止めることに
専念しなければいけないことになる。
タッチに行く必要は全くないから。
次に起こり得るプレーを予想して、状況によってどう動くべきかを一球一球、イメージするのだ。
一球一球、次はこう動く、こうなったら次はこうと、野手は考えながらプレーをする。
特に、セカンドというポジションは仕事が多く、要となってくるので、これを怠ると
全ての他の野手に迷惑をかけ、守備のフォーメーションに破綻をきたす。
そういう意味で、プロにもかかわらず、かっこつけて捌こうとせず、
体を張って止めに行った上本の守備はとても良いものだった。
むしろ、状況を把握して、やるべきプレーの選択をしっかりこなしたプロのプレーと言える。
まだ序盤の今は、シーズンが始まったばかりの緊張感があり、選手はきびきび動く。
はじまったばかりの緊張感を忘れ、シーズンが進むと緩いプレーが出てくるものだ。
疲れもたまり、怠慢プレーが出てくるものなのだ。
そういうプレーに対しては、容赦ない非難を浴びせていい。
プロとはそういう集団だ。
