落合は日本野球史における最高のテクニシャンとされる。
特異なバッティングで広角にホームランを打てるからだ。
特異というのは、スタンスが開くのにライトスタンドを越える、長いバットを使う、
アッパーに見えるスイング軌道、といったところ。
どれか一つならその選手の特徴としてあるものだが、この三つを同時にこなし、
誰もまねできていない成績を残した。
もちろん技術は優れている。
そうでなければ、この打ち方をしようという発想には至らないだろうし、守備も
走力も特別でないのに、40を過ぎてまで現役生活を続けられない。
一方でその技術も体力があるから可能となる。
というより、体がなければ技術は生きないし、その技術も獲得できない。
第一は技術ではなく体。体が先だ。
落合の体で目をひくのは、下半身の充実だ。
お尻、太もも、ふくらはぎ、としっかりしていて、ギュッとつまっているという印象を受ける。
特にふくらはぎの充実は惚れ惚れする。
ふくらはぎと言えば王を思い浮かべるが、落合のふくらはぎは王に匹敵するそうだ。
「俺のふくらはぎは王さんと同じ太さ」と自慢していたそうだ。
両者ともに体が大きいわけではないのに大打者なのは、この特別な部分を持っていて、
そこにギュッと詰まっているから身長や体重がなくても飛ばせる。
ふくらはぎの大きな打者は例外なく飛ばす。
この体が技術を生かす。
この体が技術の獲得を可能にする。
明日へ。