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野球がうまくなるのは野球から離れたとき

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長く野球界では走ることが重視されてきた。

特にピッチャーは走れ走れ、と言われ、打者も打つためには下半身の強靭さが必要なので走れ、とされてきた。

 

落合はキャンプに入ると打つことをせず、まずは下半身の強化に取り組むことが恒例とされていた。

下半身ができていない状態でバットを振るとフォームがバラバラになるというものだった。

 

長距離を歩いたり、ノックを受けたりで、いつバットを握るんだと、

キャンプのひとつの風物詩になっていた。

取材陣が、「いつ頃からバッティングをするの?」と聞いても

「まだ」と答え、じらしていた。

 

毎日のように朝、長距離の散歩をしていて、これに報道陣がくっついて歩くのも風物詩だった。

 

開幕に合わせるために綿密な調整を計算しているので、雨が降っても

その日にすべき事は必ず遂行しようとする姿勢を見せていた。

 

ある雨が降った日に、その日の練習を遂行しようとする落合に、群がる取材陣が
「こんな日もやるんですか」
「計算してあるから。これくらいのことでやめられないよ」
と散歩に出掛けた。

 

だから落合がいつバットを握るか、ということが連日テレビで報道され、

今日もまだ、今日もまだ、いよいよだ、とひとつの話題をふり巻いたのだ。

そして、下半身ができればバットは振らなくても打てるとまで言っていた。

 

最近は走ることは不要とされてきている。

大きくしたのはダルビッシュと思われる。

 

走ることを重視されてきたピッチャーに走ることが不要となってきているのだ。

ただ、走れという人も、走るなという人も目的はいい球を投げるためだ。

 

走れという人は走ることで下半身が鍛えられ、球速が伸びたり、コントロールが良くなったり、

体力がついたり、とされているからだ。

 

走るな、という人も目的は一緒だろう。

走るなという人は、それらの効果を獲得するには筋力トレーニングが必要と考えている。

 

さらに走るな、という人は走る行為はトレーニングで身に着いた筋力を削いでしまい、

無駄どころかトレーニングの効果を削る、マイナスの作用ということだ。

長い距離を走る酸素を多く取り込む運動が筋トレなどで身につけた筋肉を削いでしまうのだ。

 

日本のキャンプでは練習メニューに中長距離走を取り入れ、

そういう時は競走だったりタイムトライアルだったりしている。

タイムを計るのは張り合いが出るからだろうが、野球選手に中長距離のタイムなどどうでもいいことだ。

 

野球選手は体をでかくする。

アマチュア時代より体を小さくする選手はいない。

 

野球は瞬発力のスポーツであり、パワーが有利に働く競技なので速筋が必要であり

大きな体が良い結果をもたらす。

速筋は横に大きくさせるので、そのせいで野球選手は体が大きいとも言える。

 

タイムを計り、タイムを縮めたいとするなら体をでかくすることはそれに反する行為だ。

 

タイムを良くするために走っているのは陸上選手であり、野手は速くする必要はあるが、

それは長い距離ではない。

 

ひと試合の走行距離が10㌔にも及ぶサッカー選手も長距離が速いことがいいというわけではない。

 

長距離を速く走る能力は90分間のパフォーマンスを高めることはあるだろうが、

サッカー選手もやはり瞬発力を要求される。

一瞬で相手の前に出る能力が重要だ。

 

工藤は高校時代、甲子園でノーヒットノーランをやるほどのピッチャーだったが、

カーブを特徴としていたピッチャーだった。

 

それはプロに入ってからも変わらないのだが、球が遅いわけではない。

時期ははっきりと覚えていないが、冬に走り込みをしたことにより

球速が大きく増したと過去に発言していた。

 

ひと冬越えると球速が増す、と言う人は多い。

特に成長期のピッチャーは体の成長とともに一気に増すものだ。

 

ひと冬越えたらと言うのは、野球がオフシーズンに入り、試合がないから、

ボールを扱わないで体力向上を目的とするトレーニングに切り替えることが多いから。

 

ひと冬越えたらスピードガンで5㌔以上増しということも珍しくない。

そして高校生活で球速20㌔増し、大学のピークでは150㌔台ということは珍しくないのだ。

 

だから中学時代はピッチャーをやっていなかったとか、体が小さく球は遅かったとか、

名門校ではなく公立校に進んだとかいう選手が大学を通じて速球派のピッチャー
として

プロの目にかかるというケースは多いのだ。

 

それならば、ひと冬と言わず、普段からやっていればいいじゃない、と思うほど。

成長期の高校生や大学生は公式戦がある期間は偏っており、短い。

 

であれば、冬と言わず、年中そういうトレーニングをしていればいい。

わざわざ冬に集中したり、ことさら冬を強調したり、

冬だけ実戦練習から離れたことをやるなどと、こだわることはない。

 

特に、レギュラーに届かないような選手はそういうことが比較的可能だろうし、

そういう選手は実力向上が必須であるから、

体力向上のトレーニングは多く取り入れた方がいいということになる。

 

高校野球指導に行脚しているイチローが
「高校生はひと冬で本当に変わるからね」
と伝えている。

 

それは、彼らの近い未来に希望をあたえる発言であり、勇気づけるために強調してのことではあろう。

そして、そのひと冬とは、やはりオフシーズンの実践から離れた練習、

トレーニングが実力を上げるということを意味している。

 

ということは、おのずと実践から離れた=自分たちだけでトレーニングに集中する時間、

ということ。

それが変貌を遂げる時間となるなら、やはり、普段からそうしたらいいと思われる。

 

高校生など公式戦に忙殺される時間などたいした時間ではない。

練習試合や普通の練習で時間がないからだ、と言うがロジックは合わない。

 

実践とは違うトレーニングにそういう効果があるなら、練習試合をやめて、

あるいはそちらを中心にした練習へ変えれば実力が増すということになる。

 

野球とは違う運動が実は、野球の能力を高めるということがあり得るのだ。

 

ところで、野球選手は長い距離を走ることが苦手だ。

これが走ること不要論に通じている。

また。

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