ホームランを打つに第一条件は飛距離をもっているということだ。
少年がベストスイングをして最高の放物線を描いてもプロの球場でホームランは打てない。
大人になってからの最長飛距離が少年時代より劣るという打者はいない。
だが、そんな少年であっても飛距離は持つ。
どんなに非力の少年が大谷の球を打っても、当たれば飛距離は出る。
何度と挑戦できれば、少なくとも前に行くことはあるから数センチでも飛距離はあるわけだ。
飛距離を持つとは、自身のベストスイングで最も飛ぶ距離のことを言う。
だからホームランの可能性向上は技術の向上というより
飛距離を持つにはということを一番に考えた方がいい。
それにはまず、体の成長、大きくすることが近道であり必須となる。
プロであってもほとんどが、一番飛距離が出るコースに来た球かつ、
一番、弾きの良い速さで来た球を抜群の切れでジャストミートしても
180メートルは飛ばない。
同じプロであっても個人の持つ飛距離というのはそれぞれであり、
ホームラン打者とそうでない打者ではかなりの差があるということ。
まず飛距離を持つこと。
それはそれだけの体を持つこと。
大きさではない。
一概に身長ではなく、ぎゅっとつまった体であれば身長が低くとも飛ばす打者は多い。
ふくらはぎが発達していたり、おしりが大きかったり、上半身が強固だったり。
落合は技術で運んでいただけではない。
強固な躯体がまず、飛距離を生んでおり、その飛距離を持ったことで、
最長飛距離にはならない打ち方でもオーバーフェンスできるから
飛ばないコースの難しい球でも打ちに行け、ホームランを生むことができていた。
体を開いてでも肩を開かなければライトへもオーバーフェンスできるから、
最も飛ぶ打ち方でなくてもよくなり、確率の良い打ち方を選択できた。
塀を越せばいいんだろ、という考え方だ。
180メートルも100メートルも同じホームランで、得点は一緒。
詰まってもオーバーフェンス 振り遅れてもオーバーフェンスだから。
大谷も下からかちあげられる技術とか、ヘッドがどうとか、引きつけて打てる技術とか、
あれこれいろいろの人が言うが、一番は体がでかいということが世界一の打者にした理由だ。
そしてその体があるからこそ、そういった技術を身に着けることができ、
さらに実践しても体があるから結果が出る。
栗山元日ハム監督が最も身近で見ている際、発した、
アベレージヒッターが少年野球のグラウンドで打ってるよう、
という発言が端的に表現している。