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起死回生のダブルスチール 傑作選2014年1月7日

野球の大胆な作戦のひとつとされているダブルスチール。

WBCでの内川の走塁が話題になったことがあった。

内川はこのミスにより責任を感じ涙した。

 

その際、このダブルスチールという作戦を敢行したことへの是非やこの作戦をとる場合の技術が話題になった。

そして、一般的には聞きなれない、ディスボールやグリーンライトという表現が、

野球用語として浸透した。

ディスボールとは、次の投球でスチールしろというサインのこと。

グリーンライトとは、行けると思ったら行ってよいし無理だと思えば自重しろというサインのこと。

 

そこで、そもそもダブルスチール(三塁単独スチールでも)でディスボールのサインはあり得ない。

仮にディスボールのサインが出たとしても、ランナーはタイミングが合わなければ行かなくていいのだ。

三盗の場合のディスボールは、ベンチのできれば行ってほしいの意思表示ということだ。

なぜなら、三盗は完全にタイミングを盗んでスタートを切らない限り刺されるからだ。

 

二盗は多少タイミングが遅れても、投手のモーションの大きさ、球種によってはセーフになるし、

キャッチャーからの距離が遠いことからセーフになる可能性があるが、三盗はモーションが大きく、

変化球でもキャッチャーの送球がまともなら刺されるのだ。

つまり、ダブルスチールもしくは三盗は行くな以外のサインは、グリーンライトということになるのだ。

 

そして、ダブルスチールの場合、二塁ランナーはグリーンライトだが、一塁ランナーはどうするか。

一般的には二塁ランナーの動きを見て走ったらついていけ。となるのだが、必ずしも

三塁へキャッチャーが送球しない最近の野球では、一塁ランナーは必ずしも、ついて行かなくていい。

しかも、この時のプエルトリコは、技量の高いキャッチャーだったらしいので

一塁ランナーはスタートが悪ければ自重していいということになる。

実際、代表練習でそのような作戦で周知させていたそうだ。

 

なぜ最近の野球は、二塁へ送球してくるのか。

それは、三塁はキャッチャーから近い上、キャッチャーの体の左側に位置する。

つまりステップせずとも投げられ、近い分送球ミスも少ない。普通は三塁に投げたくなる。

しかし、三盗するランナーはタイミングが合わなければ走らない。

 

逆に走ってきた場合は、ピッチャーのモーションを盗んだ時で、100%成功すると思った時だけ走る。

そうなると近くて投げやすいとしても、モーションを盗まれた時点でキャッチャーは刺せない。

ところが一塁ランナーは二塁ランナーの動きを見ながらでないとスタートが切れない。(内川は見ないで走ったが。)

だから、一塁ランナーのスタートは、自分のタイミングだけで切れるものではなくなってしまい、

キャッチャーからすると二塁で殺せるチャンスがあるわけだ。

だから三塁で殺そうとはせず、あえてステップして距離の遠い二塁で殺そうとするのだ。

三塁で殺すか二塁で殺すか。キャッチャーは一瞬で判断しなければならない。

 

今回のプエルトリコのキャッチャーは、それができる、技量の高い、キャッチャーだったため

日本はダブルスチールの際、一塁ランナーは必ずしもついていかなくてもいいとミーティングで徹底したはずだった。

しかし、内川は走った。

走るのはいいが、二塁ランナーの動きを見ずに走る愚かさ。

これはあまりにもレベルが低い。

中学生や高校生でも罰があたえられるプレーだ。

 

当時、内川擁護の雰囲気と日本よくやったの風潮が少なくなかったものだ。

たしかに内川の走塁ミス自体が敗因ではない。

それまでたくさんのミスをしてきた。

そのミスはプエルトリコ戦だけではない。

初戦からずっとだった。

だから1次ラウンド格下の相手に苦戦を強いられた。

逆に接戦になり、日本中から注目される効果はあったが。

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