野球の恐ろしさについて言及した2015年8月17日の傑作。
実は野球ほどおそろしいスポーツはない。
人同士が傷つけあう格闘技は武器を持たないことが基本だ。
ボクシングは、素手では殴る方も殴られる方にも危ないのでグローブをする。
最も危険とされるアルティメット、総合格闘技もオープンフィンガーグローブをする。
剣という武器があったら防具を用意する。
野球は無防備だ。
素振りひとつとってみても目の前で振られる。
金属バットを道端で振リ回して歩いていたりしたら誰も寄ってこないし、即通報、検挙だ。
ところが、グラウンドという仕切りのある空間に入った途端、違和感は全くなくなり、
危険という感覚もなくなる。
グラウンドでは目の前であの凶器にもなる金属バットをほんの1メートルしか離れていないところで振られても笑顔でいられる。
キャッチボールは、固いボールを、胸や顔面めがけて投げ合う。
守備では、バウンドが変わるかもしれない速い打球をキャッチしなければいけない上、
キャッチできなければ、体で止めろと言う。
どこに向かうかは、ボールに聞かなきゃわからないのに。
送球を捕る際には、視線を別に置きながら、鉄の刃のついたスパイクで自分に向かってくる
スライディングをかわさなければいけない。
打者は、投球が自分めがけて投げ込まれる。
野球選手でデッドボールの経験のない人間はいない。
それでも、打者はそのボールに向かっていかなければ打てない。
最近ではこんな出来事もあったようだ
こんな事も
【オリックス】丸毛が現役引退 2月にボールが左側頭部に直撃し手術
実際に打球が頭に当たり死んでいる例はいくつもある。
ぶつけても投手に与えられるペナルティはワンベースだ。
頭にぶつけても退場すればいいだけ。
これが、出場停止や追放、はたまた10点献上のようなペナルティなら
デッドボールはピッチャーの悪ということになるだろう。
練習中は、方々でボールが飛び交い、グラウンド内の人たちの技術が信用できなければ、
いつボールが襲ってくるかと気が気でない。
全ての行為が、相手の良心に全権委任するという恐ろしいスポーツだ。
良心がなければ、少し気が狂ったら、簡単に人を傷つけられる。
それも、非を受けずに。
もし、殺人の意思があったら完全犯罪が成立する。
グラウンドの中なら、わざと人にボールをぶつけてもバットで殴っても偶然で片付けられるのだ。
意識するとつくづく恐ろしいスポーツだ。