バントは決めて当たり前なのか、それを論理をもって確かめた2016年5月3日の傑作。
2016年の、とある横浜-中日戦。
3回ノーアウト1,2塁の場面で打席には投手の砂田。
当然バントが予想される。
ところが2球失敗してなお、横浜ベンチはバントの指示。
結果はスリーバント失敗となった。
解説の遠藤は
「こういうところを決めなきゃいけない。ピッチャーと言えどしっかり決めなきゃ。」
だそうだ。
あいかわらずのテレビ解説。
昔ながらの慣習をまったく考えもせず受け入れ、引きずる古い野球人だ。
ピッチャーは投げる能力を買われて入団している。
投げることで給料をもらっている。
バントを100%成功しても、抑える能力がなければ雇わない。
投げて抑えることに野球生活の99%以上神経を使い、
チームからの指示も他の選手からの要望もファンからの期待も投げる能力について評価される。
投げる能力があれば、キャッチボールができなくとも
バットを握ることができなくとも走ることができなくとも評価は変わらないだろう。
そのピッチャーがたまたまランナーがいる場面で打席に立った途端
バントを成功させなきゃいけないとされる常識は理不尽だ。
まずひとつの誤った常識が、その打者としての能力まで求められていないピッチャーに
バントの技術を求めること。
もうひとつの誤った常識がバントは決めて当たり前ということ。
特に1,2塁のフォースプレイの場面では三塁手に捕らせることが求められ、はっきり言って難しい。
たまにしか打席に立たず、バントも年に数度しかしないピッチャーが
プロの投手の球を三塁手に捕らせるようにバントすることはとても難しい。
というより失敗の可能性の方が高く、不可能の方に近い。
バントは決めて当たり前と同時に配球やシフトで決めさせない守備の作戦もある。
ということは、決められてしまったら守る側のミスという見方もできるのだ。
そしてバントを決めたら守備の包囲網の中、良く決めたファインプレー。
防げば、守備側のファインプレーという見方。
ワンアウト1,2塁となった横浜は次の1番桑原にホームランが出て3点をとった。
遠藤は「うまい」とか「調子がいい」とか結果のことしか言わない。
ひとつ前のバントとの関連や試合の展開には言及しない。
もう忘れたかのようだ。
こんな刹那的な見方をしているのに解説だそうだ。
やっているプロもこんな刹那的な野球を展開している。
せっかくひとつ前でバント失敗のアウトを稼いだのに、次の打者にはあっさりホームランだ。
プロのくせに試合展開にストーリーが感じない。
レベルの低い試合展開だ。