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プロが参考書とは限らない

各地で高校野球が真っ盛りだ。

昨日は沖縄尚学が全国でトップとして甲子園出場に名乗りをあげた。

 

わが母校は先週まで勝ち残りベスト16で姿を消したのだが、

先週、土曜日に試合があり大挙OBが駆けつけ応援した。

 

実力としてはシード校を破るほどのものがなく、

ここまでといったところだったのだが、

それでも1試合ずついい試合を繰り返し、負けたとはいえ、最後の試合が

一番いい試合だったのではないかというくらい食い下がる姿勢を見せてくれた。

 

小粒なチームが限られた時間と設備の中で、野球を続けてきて

負けたら突然終わりを突き付けられ、

明日からは違う生活を余儀なくされるというはかない高校スポーツで

試合に専心しながら負け、涙にくれる姿には

レベルや実力など関係なく、OBとして胸を打たれ、お疲れ様といいたくなるものだ。

 

そんな中ベスト16を決めた試合で3番打者が1アウト満塁という状況で

スクイズを成功させ、浮足立つ相手に

「ここで初球連続スクイズやれ」

と私がつぶやいた。

 

すると

「4番に?」

と声がしたので

「初球やれば絶対決まりますよ」

と言うと

「4番だぜ」という声だ。

 

これは幼いころからのテレビで見てきたプロの影響だ。

 

昔から日本の野球は、

4番はチームの顔、4番は自由に打たす、4番は勝敗に責任をもつ、

4番は相手のウイニングショットを打つ。

ということが常識のようにまかり通り、

アマチュアの野球とくに小学生の野球にもこの常識がまかり通ってきた。

プロはエンターテイメントで4番は周知のスターなのでこうするのだ。

しかも、顔だの自由だの責任だの言っているのは、

プロの中でも大変な実績を残した人のみ発言し(長嶋や王、落合)、

テレビの実況や解説者と呼ばれる人が、これをそのまま伝えてきたために

テレビで見てきた野球ファンに浸透してしまっただけだ。

 

上記のような大打者の4番でなければ、プロの世界でもこれは当てはまらないのに。だ。

まして高校野球は絶対に違うのだ。

 

4番打者はチームの主砲が座る打順ではなく、4番目の打者が担う打順だ。

 

弱小のチームや選手層が薄いチームが、

4番には打ってランナーを返してもらうなどという発想をしていては、

大物食いはできない。

 

打つことは確率の低いギャンブルなのだ。

 

野球はランナーを出し、3つ許されるアウトを効率よく使い、

ランナーを進ませ、ホームを踏ませて点を取り、

これを守り抜くというスポーツなのだ。

 

そのためには

状況によってもっとも確率がよい戦法をとることが求められる。

 

プロは

相手を良く知っている、

いつも相手が一緒、

守備のレベルが高い、

ので、

バリエーションのある戦法が成功しないため、打つことを選択する事が多いが、

これはプロの野球であり、高校野球には当てはまらない。

 

野球は打撃でねじ伏せるスポーツではないのだ。

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