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弱小チームの間違った鍛錬 うまくはなるけど勝てはしない XVI

金曜連載の16回目。

ただの野球好きが集まったチームが名門強豪校に勝つために必要なこと=「体力」。

 

練習を繰り返してうまくなろうとしても、うまくはなる。しかし、限界がある。

その上を目指すには体力が必要となってくる。それは体をでかくするということ。

逆に、技術が劣っていても、体力で凌駕することも可能だ。

そして体力があるからこそ技術の向上が早くなり、成長曲線を高く急激にする。

 

たとえば

素振りを多くしてスイングスピードを速くしようとしても無駄だ。

 

同じ筋力で素振りを繰り返しても、自分の最高点まで行ったら速くならない。

そこまで行ったら今度は、スイング練習することは速くするためではなく、維持することとなる。

速くするための体力と筋力が伴わなければ、時間を費やした練習も身にならない。

 

松井が「4番1000日計画」で、長嶋監督つきっきりで素振りを繰り返したことは有名だ。

松井自身が引退の際、記者の

「もっとも思い出に残ることは?」の問いに、

「長嶋監督と素振りしたこと。」と、とても印象に残るコメントをしたほどだ。

 

その松井も海を渡ってからは、若いころほど素振りはしていなかったようだ。

イチローの

「まだ、素振りしてるの?」の問いに

「もうやってませんよ。」と答えている。

イチロー自身も

「そんなことしても無駄だけど。」というニュアンスを含めながら質問していた。

 

若いころの素振りは、スイングスピードを速めるというより自分のフォームを固め

最良のスイングを見つけるため、

あるいは最良のスイングをするための体の動きを身につけるため、といった意味が強く、

スイングスピードを速めるという意味ではないだろう。

 

プロは成熟した大人となっているので成長期の高校生がするような素振りをせず、

自分の形を身につけ、感覚を目覚めさすためにスイングをしている。

 

しかもスイングスピードを上げることが必ずしも打撃力の向上となるとは限らない。

スイングスピードが遅くとも、遠くへもっていく体力を上げた方が、効果的ということもある。

前田智徳は、「スイングなんて遅いくらいがちょうどいい」とまで言っている。

 

そしてどんなに時間を費やしても

たいして差がつかないものであり、短時間で身についてしまうものなのだ。

したがい、1年間振りまくっても、3か月で追いつくことが可能となる。

 

 

高校生は、変な、精神教育に惑わされず、現実を理解することだ。

 

高校生には、歯を食いしばって、練習に明け暮れ、時間を費やすよりも

成長期にしか進歩が望めない身長を伸ばすという行為を怠らないことだ。

それがすべての技術を高める基礎となり、成長も早く、体の成長こそ技術の成長だ。

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