『有望な選手が集中する強豪校に、ただの野球好きが集まった野球部にも勝つチャンス』を
テーマにつづけていた金曜連載が一か月ほど空いて、今日は18回目。
勝つための3つの要素、「情報」「経験」「体力」。
「情報」と「経験」はだいぶ前に終わって、今は「体力」について。
ハズレドラフト1位で5球団競合した桜美林大学の佐々木は、小学生時代、小さかったそうだ。
名前が「千隼(チハヤ)」から「ちい」と呼ばれていたそう。
運動神経は良かったそうだが、体が小さいことが大きな理由になったのだろう
佐々木が歩んだ道は、野球エリートの道ではなく、
地元の少年野球から地元の中学の野球部、都立の高校野球部、
そして強豪として知られているわけではない桜美林といわば、
普通の野球少年、ただの野球好きの一人のような球歴だ。
それが、大学4年間で5球団垂涎のピッチャーにまでなった。
日野で生まれ、高校まで公立の学校に通い、日野でずっと過ごしてきた。
いわば典型的な”普通の子”だ。
それが、ドラフト1位になったのは、好きな野球を一生懸命取り組み、
体をでかくしたからの大出世なわけだ。
「練習はうそをつかない」などのきれいな言い方に騙され、意味も考えず妄信して、
「練習量が成長度」などと勘違いしてしまっては、せっかく一所懸命やったのに、結果が違う。
なんてことになる。
「練習はうそをつかない」など、何も根拠のない、実体のない言葉。
プロ野球の選手、プロ野球の首脳陣でこんなことを言う人はいない。
スポーツというのは、特に野球は、体力が技術を凌駕するのだ。練習量ではない。
プロ野球選手は技術が特別優れている連中が集まっているわけではない。
まず、技術を磨ける体力が備わっている連中の集まりだ。
しかも、技術などたいしたことない。
手、脚、胴体、頭と人間の体の見かけは一緒。それを使う技術もたいした差がつかない。
身長5センチ、体重10㌔の差が、
内野の間を数ミリ違う打球を生み、打者のバットを数ミリ詰まらせる投球を生む。
大谷も筒香も中田も特別、技術が優れているわけではない。
だから、
成長期の高校生は、まず、練習を重ねることに時間を費やすより
体を大きくすることを心掛けることが第一だ。
名門校は体が大きい。
対抗するためには、まず体を大きくすることが練習だ。
技術の練習は二の次。
毎日、同じようにノックを受けたり、毎日欠かさず走ったり、ウェートトレをやったり、
バットを振り続けることより、食べて、5KG体重を増やし、身長を1CM伸ばすことの方が有益だ。
グラウンドの練習に食べることを加えてもいい。というより、大事な練習だ。
グラウンドの隅でグローブとバットを持つ手を茶碗と箸を持つ手に変え、食べる。
食べるとまた、打撃へ守備へと向かう。
100本の素振りより、もう一善ごはんを食べることがレギュラーに、勝者に近づく。