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弱小チームの間違った鍛錬 うまくはなるけど勝てはしないⅥ

金曜連載6回目。

 

前回までで

有望な選手が集中する強豪校にただの野球好きが集まった野球部にも勝つチャンスとして

情報の活用について記した。

 

情報とは自分を知り、知識を得、相手を知り、考え方を進歩させ、

自チームの戦い方を形づけ、理論をのばしていくこと。

自分を知り、チームで各個人の能力を共有し、戦術をかため

やるべきこと、というよりやれることを確実にこなすこと。

 

実践しているチームは平安高校だ。

 

平安高校はただの野球好きが集まったわけではない。

甲子園100勝に王手をかける古豪にして名門の超強豪校だ。

平安はいつも鍛えられたチームをつくって全国へ出てきており、

おもしろい試合を展開する。

平安の試合を観てしまうと、他の試合が淡泊に感じるほど緻密な野球をやってくる。

 

緻密な野球と思わせるのは、前述の自分たちのやるべきことを確実にこなしているから。

 

センバツでの平安と明石商の試合。

平安バッテリーはスクイズ警戒の終盤、スリーバントスクイズを仕掛けてきた相手に

打ってきた場合に空振りもとれ、スクイズに対しても難しい球となる外角の球を選択した。

そしてスクイズがわかった瞬間、外角の球ならピッチャーはワンバウンドにして

スクイズウエストに出来ることからこの球を選択したのだ。

高度な技術であり、キャッチャーを信頼しているからこそワンバウンドにさせ、

キャッチャーも止める自信があるからこそ要求できる。

 

他にも

フォーメーション、牽制、揺さぶり、つなぎ、など記録に残らないところでも試合巧者を印象付ける。

フォーメーションではランナーを背負った場面で一球ごとに守備陣形、シフトのサインを変え、

守備でも攻めてくる。守備の包囲網に打者をはめるよう動いてくる。

牽制では、サインプレー、フォーメーションにより意表をついてランナーを刺してくる。

揺さぶりでは絶妙なタイミングで間をとり上記のフォーメーションプレーや

牽制がうまくいくようインプレーでないところでも勝負につなげてくる。

つなぎでは、一人一人がすべきことを心得てチームで点をとる姿勢。

 

延長12回ツーアウト満塁の一打サヨナラの場面ではセーフティを仕掛けてきた。

それも、2球続けて。

 

この場面でセーフティを選択する勇気を持つことは難しく、打たせておけば、

たいがいの人は納得する。

しかし、それでも

これまでやってきたチームの野球を貫き、状況に最も成功確率の高いプレーを選択する。

打席に入った選手は足が速く、相手の3塁手が下がったためだそうだ。

相手の3塁手からしたら満塁でしかもツーアウトならフォースアウトでいいので

強打に備え、当然下がる。

そこで意表をついたセーフティ勝負だ。

自チームの各選手の特長を試合に生かす確率の高いプレーの選択。

 

平安高校は超名門のため、野球に精通した人たちが数多く選手たちの鍛練に関わる。

自然、多くの野球観を学び、多くの経験を伝授され、多くの情報を吸収することができる。

環境は恵まれているだろう。

 

しかし、この取組みはとても参考になる。

 

やるべきことを自覚して戦略をかためる。

情報とは自分を知り、知識を得、相手を知り、考え方を進歩させ、

自チームの戦い方を形づけ、理論をのばしていくこと。

 

ふたつめの要素に行くはずだった。

それは次回へ。

金曜連載。

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