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チャンスに強いなどという選手が存在するか。

昨日、中学、高校野球の指導者が良く口にする

「武器をもて」

ということをとりあげた。

 

その武器の中のひとつに”チャンスに強い”というものがあり、これについて疑問があるとした。

 

武器として他に列挙される、パワー、足の速さ、肩の強さ、スピードボール

守備力、出塁率、打率、進塁打といったものは、数字で計れ、また見ればわかるものだ。

チャンスに強いというところだけは定性的分野といえよう。

 

また、ムードメーカーというものもあり、ムードメーカーにしても定性的分野だが、

ムードメーカーだから試合に出るというわけではないので数字で測る必要はない。

だからこれも武器のひとつとしてよいだろう。

 

チャンスに強いというのもスコアリングポジションにおける打率などで測ることはできる。

しかし、ひとつの武器としてこれを捉えた場合、レギュラーにする理由とすることは危険だ。

控えのベンチ入りメンバーに当てはめることにとどめておかなければいけない。

 

チャンスに比較的打率がいいとかいう程度の理由だったら、

相手の力量によって左右されてしまうからだ。

 

控えの選手にこの武器をあてはめた場合、得点圏打率でチャンスに強いかどうかを判断するには

母数が少ない。

たとえレギュラーにあてはめたとしても、母数が少ないだろう。

また、レギュラー選手は得点圏打率が高ければ、打力に優れていることが多く、

自然、どんな状況でも打率が高いということになる。

 

中、高、大学のように、同じピッチャーと何度もやる機会がなく、

ピッチャーの力量に大きな差がある場合、この得点圏打率だけに頼ることはできない。

弱いピッチャーの時、チャンスで打っていただけというケースが多いからだ。

 

そして

トーナメントの一発勝負でこの数字に頼って

大事な場面である得点チャンスでその選手に打席を任せるという判断をしてしまうと、

結果が芳しくないというケースに陥る。

結果、チームが負ける。

 

そしてチャンスに強いというのは、多分にメンタル面を言うことが多い。

メンタルなどという誰にもわからないもので判断するのは危険であり、

公式戦の一発勝負でもいつものようなメンタルを発揮できるであろうか。

 

したがい、チャンスに強いはあくまで印象であり、偏見が入った主観であることになる。

 

得点圏打率という少ない場面での数字に頼り、

メンタルという不確かな素質に頼り、

その時初めて対するピッチャーにもチャンスの強さが発揮できるか確信をもてず、

その選手がどういうピッチャーが得意かもわからないまま、

特長のひとつとしては危険で、特長のひとつには数えられない。

 

チャンスに強いは、武器には数えられない。

チャンスだけは打つけど、他では打てないなどという選手など存在しない。

 

チャンスに強い打者は、打撃に高い選手であり、

その選手の特長は、打撃力の高い選手ということになり、

理由はチャンス云々ではないレギュラーを務める。

 

武器をもつことのひとつに「チャンスに強い」をあげるのは危険だ。

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