左バッターと右バッターがそれぞれ、並んでしまう大阪桐蔭打線に
金光大阪は、左バッターが出てくる回には左ピッチャーを充て、右が並ぶ回には右という戦略を施した。
これが、ジグザグ打線なら、ここまでの作戦は図ることはできなかったろう。
甲子園では、慶應-中越での中越も左右のピッチャーを充てる作戦を取った。
山梨学院-高知商の時もそうだった。
ワンポイント継投だ。
よく、好打者に対して、左を苦にしないとか言ったりするが、
プロの世界で長く打席に立って、左打者が左ピッチャーに対した方が打率よしなどということはない。
右打者の場合は、左ピッチャーが少ないということで経験が足りないので、
右ピッチャーの方が打率よしという場合はあるかもしれない。
最近は左ピッチャーが多くなってきたのでどういう統計になっているか、興味深い。
最近は、右に右、左に左という代打を見ることもあるが、それは苦肉の策だ。
右ピッチャーには左打者が、左ピッチャーには右打者が見やすいのだ。
それは、対角で自分に迫ってくるようにボールを捉えることができることから、
両目で正対に近く投球を見ることができるからだ。
逆の場合は、首をひねってボールを捉えなければならず、視界は狭まる。
だから、コントロールの悪い右ピッチャーに、右打者は恐怖が頭を掠め、腰が引けてしまう。
打ちに行きながら、体に当たると思って避けても間に合わなかったりする。
逆に、左ピッチャーは打ちに行ってからでも避けられるので右ピッチャーほど恐怖がない。
だから踏み込んで打ちに行くことができる。
当然、左ピッチャーに対して左打者は恐怖で腰が引け、右ピッチャーに対する左打者は踏み込んでいける。
したがい、先述のチームの左右スイッチ作戦は見事な戦略なのだ。
スーパーエースをもたないチームは、または高校野球の連戦では、
この戦法は常道、オーソドックスとなって行くだろう。
一発勝負で、格上の相手に勝つためには、こういう工夫が必要なのだ。
大阪桐蔭は、左の本格派の高岡商・山田に三振の山だった。
だから、横浜高校・及川を相手に大阪桐蔭がどういう戦いをするかを見たかったのだが、実現しなかった。
金光大阪は王者に勝つために、この戦法に賭けたのだろう。そのために準備したはず。
そして組み合わせが決まった時から、そこに向けて考えたことだろう。
その外連味のない戦法で王者を苦しめ、接戦を演じた。
そこを王者は、無死1,2塁の送りバントを空振りにさせ、2塁ランナー狭殺や
ライトからのバックホームをストライク返球での捕殺という大きなプレーで、
食い下がる相手にいつも通りのプレーをして力でねじ伏せた。
勝った大阪桐蔭は淡々と、負けた金光は涙。
これに比べて高校代表のU-18アジア大会の取った戦略は真逆だった。
明日へ。
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