毎日野球コラム - 野球コラムサイト -

確率を無視した戦いでの成功Ⅲ

WBCの戦いを振り返りる3回目

2024-4-1 確率を無視した戦いでの成功

2024-4-8 確率を無視した戦いでの成功Ⅱ

 

この大会では試合前に次戦の先発を記者に告げる場が設けられていた。

初戦は大谷で行く、という発言には野球ファンのみならず一気にテンションが上がった。

 

戦前、大谷はDHのみの出場では、とささやかれていただけに初戦からスーパースター登場に

大会の高揚感が一気に広がって行ったのだ。

 

これは栗山の真骨頂と言え、良かったのだが、それ以降も先発が決まってしまっていた。

 

大谷とダルビッシュをなんとか三度投げさせられないか、という発言からも

逆算して先発ピッチャーを決めて行ったということになる。

相手の打線よりローテーションを重視したことになる。

 

しかし、ローテーションは必要か。

 

シーズンは負け試合を作るからローテーションが必要になってくる。

100試合以上の中で他チームよりひとつ勝ち星が多ければいいから。

勝てる試合を獲っていく、という戦いになるからローテーションをつくり

勝ちパターンをつくっていくことが定石とされる。

 

最大7試合しかなかったこの大会ではローテーションではなく、

良いピッチャーを相手打線の嫌がるように使っていくことがベストだ。

同じように7試合の日本シリーズにローテーションが必要なのは駒が少ないからだ。

 

自軍で計算できるピッチャーは一人か二人であるので、そこで勝つよう、

そしてその主戦ピッチャーにイニング数をなるべく投げてもらえるように戦略をたてる。

 

そして4つ勝てばいいから、主戦でないピッチャーで落とすことも考えている。

各チームのエースたちが集い、しかも15人もいる代表チームは長く引っ張る必要はなく、

負けたら終わりなのだから、どんどん調子が良く、相手打線より有利と思われるピッチャーを

つぎ込んで行けばいい。

 

代表という全員が一流で、かつ一つ敗けたら終わりの仕組みでローテーションにこだわると、

最適とはならない。

ローテーションなどと言い、それにこだわるから今永を右打者の多いアメリカ戦に、

左打者が多い相手に右ピッチャーが先発するという愚策にハマってしまうのだ。

 

ここでローテーションという発想が生まれてしまうのは疲労回復ではなく、

球数制限がある中でのやりくりが必要になるからだろう。

リーグ戦のシーズンだったら疲労回復のためにローテーションが存在する。

 

球数制限がなければ、大会中、抑えてくれる実力を発揮していた大谷、佐々木、山本、今永を中心に

相手の打線を見ながら、どんどん一流ピッチャーたちをつぎ込んだらいいのだ。

 

そして禁止されていたワンポイントも二死からなら可能なので、

そういう時のために少ない左ピッチャーを温存させておけばよかったのだ。

 

しかも厳しい戦いになるのは準決勝からなのだから15人もピッチャーがいれば余裕をもって起用できる。

そして全てが一流のピッチャーだから、誰が出て行ってもやってくれる期待がある。

 

栗山監督は確率の高い選択、という言い方をよく使う。

全くもってその通りで確率の高いことの積み重ねが勝利を引き寄せる。

 

ただ一発勝負はこの確率ばかりに偏ってしまうと危険があり、その中で、

そこを度外視した戦略もあり、リスクを背負ったり、感情に頼ったり、

ついには勝負師としてのひらめきが生まれるものだ。

 

言っていることはあっているわけだ。

確率の高い選択。

しかし、言っていることとやっていることが違うのがこの大会だった。

 

左の今永が右打者にホームランを打たれ、

右ピッチャーのダルビッシュが左打者にホームランを打たれている。

起用が逆だ。

選考から采配へと確率の高い選択をしてこなかった。

野球情報メールマガジン

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

傑作コラム

TOP