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虚像と化しつつある3冠王

昨日は

後藤と鉄平のトレードが決まり、田中のMLB移籍。

少し前では、巨人が井端と片岡をとり

あいかわらずの巨大戦力指向でストーブリーグの主役だ。

 

しかし、

最近の巨人のチームカラーは4番打者をならべた力任せのチームから

キャラクターのある選手をならべたチームになってきた感がある。

 

この傾向でいけば面白い野球をやってくれるチームになっていくような気がする。

 

さてこのチームのリーダー阿部慎之助。

 

以前から

日本球界を代表し、日本球史において指折りの打者だと思っていたが、

昨シーズンなんかは3冠王を狙える大打者になってしまった。

 

本人が自主トレで

「もうこの歳になると技術の進歩はない。落ちるのを食い止めるだけ」と語ったが、

それを補ってあまりある技術の高さとパワーをもった強打者だ。

ホームランバッターというより強打者の印象。

 

この時代の野球で3冠王を奪るのは、至難中の至難だと言える。

変化球の多さ、情報の多さによる研究の徹底、ピッチャーの多様化。

ホームラン王を奪る打者は、ホームランだけを打つことを許されている打者が奪る時代(中村剛やバレンティン)。

リーディングヒッターは足のある左打者が圧倒的有利。

巨大戦力により勝負してもらえる恩恵はあるものの、

キャッチャーという負担の大きいポジションでやってのけているのは特筆すべきことだ。

 

阿部のバッティングで特に印象深いのは、月間本塁打記録を樹立した年。

確か4月という試合数の少ない月に達成したように覚えている。

打てば飛んでいくというそのバッティングに、畏敬の念さへ抱いた。

 

技術的には、軸足に体重を置いてインコースを意識しながら構え、外にきた球は

バットを振り下ろすだけでひっぱたく。

インコースは、構えそのものがインコース対応の構えだから

あとはその場でいかに早く回ることができるかで対応する。

今のバッティング理論で言えば最高の打ち方。

 

3冠を獲得する場合、打率と打点はポイントゲッターである打順に座り、

確実にランナーを返すバッティングをすれば、一緒に上がっていく。

 

しかし、ホームランは基本的には狙いに行くものだ。

 

昔はヒットの延長がホームランになるように打てとか言っていたが、

スピードが速くなり、変化球が多様となり、球場が広がったため

ホームランを量産するには狙う打席が必要だ。

 

ホームランを打たなきゃいけないとなると、ミスショットが増えるので、打率は必ず下がる。

 

この辺が3冠の難しさ。

日本人で3冠王は厳しい時代。

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