優勝したのだから当然の決断だろう。
1球に魂を込め、壊れてもいいという気構えでおり、
野球をやっていて楽しいと思ったことはないというほど覚悟をもって野球に取り組んできた。
球団のみならず広島ファンさらには野球ファンから恋われて、20億のオファーを断り復帰、
優勝させたのだから、やるべきことはやった。男の仕事はここに完結だ。
しかし、この引退はかっこよすぎる。
日本シリーズが始まる前に発表したのは、これでチームの士気があがることを計算してのことだろう。
日本一になるため士気をあげるため引退することが戦力向上と判断したかもしれない。
この決断を聞いたチームメートは、なにがなんでも花道を。という気持ちになり、一方向へと導かれる。
この団結は大きな戦力向上だ。
日本シリーズの戦力を高めるため、黒田引退が大きな武器になると思えば
登板して、実際に投げる以上にチームへの貢献となる。
もう一つが本人が言っていたファンに最後の雄姿を見せるということなのだろう。
この話を聞いて、なるほどと思わされ、それならばこのタイミングしかない。
シリーズが終わってからでは遅すぎる。
最高のファンサービスのためにも、ここで発表することで黒田投球を目に焼き付ける。
日本シリーズもこれで大いに盛り上げる。
ここでもプロフェッショナルの仕事だ。
どこまでもかっこよすぎる。
今年は若手に積極的に接し、自身の経験を伝えていたと聞く。
それも自分がチームにいられる時間は少ないことから伝えなきゃという意識だからこそだろう。
ヤンキースのローテーションピッチャーから日本に戻り、優勝に貢献した選手など過去にいない。
この経験は、日本野球にはとてつもない財産だ。
これを、広く日本球界に伝えるためにも若手に積極的に接してきたに違いない。
球界にあらたな技術のひとつとして知らしめた”フロントドア”
マエケンにその投げ方を教え、マエケンは新鮮な発見と言った。
くすぶっている福井には、福井のもつ球をエグいと表現し、その球があれば、こだわっていい。
そして、完璧に抑えることを目指さず、とにかくゲームをつくること、
つまりクオリティスタートを心がけろと助言し、意識を変えさせた。
コントロールの良い野村は、投球術を学び、打たせて取るピッチングに磨きをかけた。
引退するにはこのタイミングが絶好だ。
このタイミングを逃す手はない。
スターの引き際は、美しさが大事だから。
黒田が日本復帰する際に言ったイチローの言葉
「どんなに周りが盛り上がっても、冷めたとしても、黒田は『黒田』でいるでしょう。僕には、それが『画(え)』として見える。これからも思いを胸にしまって淡々と自分の仕事をすると思う」
黒田は黒田のままだった。