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高校野球は精神的に未熟な高校生、一発勝負、青春を賭けてやってきた成果を見せあう、一心不乱、
といういくつもの要因がからみあって精神状態は緊張、興奮で異常となる。
そして、観る方にも独特の心理が作用する。
外部の者は観させてもらって、彼らの無償のドラマを楽しませてもらっている立場でありながら
高校野球らしさを発揮して、かつ、感動させてくれなきゃだめと思っているので
その通り事が運ばないと不満が爆発する。
握手を拒否したと騒がれた桐蔭学園の件については以前に触れた。
コチラで⇒2017-12-20 高校野球はアマチュアの、ただの高校生の部活動 握手拒否のプライド
打席で動きまわる選手など、わざわざ取り上げるまでもない。
逆一本足、超スローボール程度でも騒ぎが起きるほどだ。
ところでこの異質の動きをしっかりとした技術にしたのが殿馬だ。
漫画「ドカベン」でクールな天才として描かれ、秘打を生み出した。
最も代表されるのが秘打・「白鳥の湖」。
他にも、天才ピアニストのリズム感によるアクロバティックな守備。
鍵盤に指が届かないという肉体的欠陥を克服するために指のエラを切り裂き、広がった指を使ったフォークボール。
殿馬はハイジャックされた飛行機に乗り合わせ、そこで犯人の銃弾で右肩を負傷する。
それでも明訓は、右肩を負傷し、投げられない殿馬を使う。
へっぽこ打球がセカンドの殿馬の前へ転がった時、殿馬はグラブをはめた左手で捕球するとグラブを外し、
左手でファーストへトスした。
どよめく球場の中、これを見た相手の不知火は「そうか、殿馬の右肩は直っていないのか。」と気づき、
打者に殿馬を狙えと指示する。
殿馬に集中する打球をグラブトスなどの技を駆使し、ことごとくアウトにしていく。
すると不知火は「殿馬の左へ打て!」と叫ぶ。
殿馬の左、つまり殿馬から見て右へ飛んだ打球を好捕すると、グラブを放り、左でファーストへストライク送球した。
愕然とする不知火と客席。味方の明訓ベンチでさえ驚き、控えの高代は、「片手でも僕よりうまい・・・」
これにすごい、すごいとたたえる味方。いつ、左で投げるなんて練習したんだ?
「あたりめえづら。ピアノは片手で引かねえづら。」と意にも介さない。天才・殿馬の本領発揮だ。
だが、これも作戦だった。
天才・殿馬なら必ずやってくれるという山田太郎の計算。
殿馬の弱点をさらしたことで狙われたと思われたが、実は、山田はセカンドに打たせていたのだ。
バレたフリをしながら、セカンドへ打たせ、片手のハンデでも誰よりもうまい殿馬にさばいてもらっていたのだった。
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