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語り継ぐべきスーパースターたち

野村は日本にプロ野球がある限りONと言う存在は語り継がなければいけない、

と言っていた。

それだけ日本の球界へ多大な貢献をした2人に敬意を表し、あらわすべき、ということだ。

たしかにONがいなければ、ここまで日本における野球の隆盛はあり得ただろうか。

高校生のガキに1億も払ってきてくださいなどという産業になりえただろうか。

 

通算ホームランで先を行っていた野村は酒場で一緒になった王が、中座して荒川道場へ向かう後ろ姿を見て、

こいつに抜かれるのは時間の問題と悟った。

球界に天才は2人。という発言をし、それは広瀬と長嶋。

2人は感覚で超人の成果を出すからだ。

野村の有名なささやき戦術も王は野村と会話しつつも、いざ構えに入ると集中力がすごく

通用しなかった。

長嶋は打つことも忘れ話し込んじゃう、あるいは全く聞いていないから通用しなかった。

長嶋を太陽と評し、自身を月見草と言って、セ・リーグをうらやみ、巨人に闘志を燃やした

野村が2人を語り継がなければいけない、言うのだから言葉は重い。

 

今でも日本の第一スポーツとして多くの人達がプレーを楽しみ、多くの人達が高度な技術を堪能できるのは

ONのおかげと言っても過言ではない。

ONより若い世代で、ONがデビューする前のプロの有様を知っている人に言わせると、

「昔は、都市対抗の社会人や東京六大学が日本の野球では人気があったんだ。プロは興業としての存在。場合によっちゃ社会人チームの方がプロに勝つだけの実力があったもんだ。」

すると、

「そうそう。昔は、六大学野球、特に早慶戦は徹夜して並ばなきゃ入れなかった。まあ、徹夜して並ぶのが楽しかったんだけどな。」

そして、

「それを、人気でも実力でもプロが文字通り頂点になったのは、ONが出てきたからだ。このONの存在で日本の野球の図式が大きく変わり、日本の第一スポーツとしての地位を確立したんだ。」

 

それまで、人気を博していた六大学で

そのスター・長嶋がプロ相手にどんなプレーを見せるのか。と注目される。

ところが、デビュー戦で4打席4三振。

これを目の当たりにした人は、やっぱりプロはすごいとなり、プロの株が上がることになる。

エンターテナー・長嶋がデビューで4三振は結果的にプロを注目させるに効果があったということが言えそうだ。

三振することで、さらに注目させるという芸当は、さすが長嶋と思わされる。

そして、その後の活躍により、スーパースター・長嶋とともにプロ野球が発展していった。

 

そこへ翌年、導かれるように王が入団する。

長嶋とは全然、違うタイプの王は美しいフォームときれいな放物線を描くホームランでファンを魅了する。

この2人が並び立ったことが、プロ野球の幸運だった。

野球のみならず、日本の経済、文化に与えた影響は計り知れない。

日本の経済成長という時代とマッチしたONに人々は熱狂した。

 

王はもう福岡の王となってしまった。

福岡へ行った当初はたまごを投げつけ、頼むからやめてくれ、とまで言っておいて

今のソフトバンクの強さの礎を築いた王にファンも何も言えない。

ファンとはこんなものだ。

プロだから、勝てなければ非難を受けるのは仕方がないし、そうあるべきなのだが、

あの日本の野球界の宝に対してたまごを投げつけるなどという暴挙、軽挙を犯したダイエーファンは

その落とし前をつけたのだろうか。

ファンは勝手なものだし、ファンあってのプロ野球であるとは言え、さんざん罵っておきながら

ひとたび勝てるチームになった途端、手のひら返しというのでは、さすがに調子が

よすぎる。

常勝軍団にまで育ててくれ、いまだに福岡に残っている王に対して何らかのけじめをつけたのだろうか。

巨人ファンはそこをはっきりさせてくれなければ、恨みに思っているはずだ。

たまごまで投げつけたのだから、もうそろそろ巨人に返せと言いたいのではないか。

 

王はソフトバンク監督として、その前身である南海のユニフォームを復刻イベントで身に着けた。

その時、そうか、こういうことが起きうるのかと思ったものだ。

野村が嫉妬し続けた巨人とON。

日本シリーズで痛めつけた南海のユニフォームを巨人の象徴とも言える王が着た。

長嶋も実は、南海に入団する気持ちに傾いていた。

南海には立教の先輩である大沢がいたし、立教のエース・杉浦とともに

六大学のスター2人を南海が獲得するつもりだった。

 

日本野球界の王を、いちソフトバンクファンが糾弾することに巨人及び東京のファンは怒った。

逆に言えば、そこまでの行動に駆られる程入れ込んでいるファンがいることはありがたいとも言える。

ダイエーの選手たちは責任を感じたことだろう。

あの王の顔に泥を塗ってしまった、と。

イチローはWBCで王が監督を務めることになり、恥をかかすわけにはいかない、と野球人生を賭けるほどの

意気込みを語っていた。

 

そのイチローも含め、今、大谷が活躍し、佐藤が出てきたこの時だから野球発展に貢献したスーパースターを語り継ごう。

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