本当に歳でかたづけられるのか。
糸井ほどの身体能力の持ち主なら41歳でもさほど歳とは思えない。
日本人で身体能力が高い選手は身体が大きくないのだが、糸井は日本人では秋山以来の
大きな身体でのバネがある選手だ。
身体が大きくてバネがある、というのは野球にはもってこいの体質であり、それならば
40歳を少し超えたくらいなら歳とは言えない。他の若い選手より歳以上に肉体で
アドバンテージがあるから。
ただ、目の衰えとか反応の鈍り、というのは傍目からはわからない。
本人にはその不本意にはイライラが募る。そしてプロの世界ではその全盛からのちょっとでも
衰えを感じると、自身のプレースタイルに及ばず、出場機会が減る、という循環になる。
そして、一度出場機会が減れば、新しい顔がその機会を多く得ることになり、古い顔は
端へと追いやられる。
そして何と言ってもケガと持病が弱気にさせ、身体の自由を奪う。
そして最大の理由に野手で生き残るにはバッティングが優れていなければならない。
バッティング技術というのは身体能力の高さとは比例しない。
バッティング技術とは感覚と器用さのことだからいくら身体能力が高かろうが、ヘタクソはヘタクソだ。
身体能力が高ければ当たった時に遠くに飛ぶとか速い打球になる、というメリットが発揮され、
また、身体能力のおかげで鋭いスイングを身につけられる、ということがあり、これにより
ヘタクソを補えるということはある。
糸井の場合、バッティングはうまくはない。
しかし、野球史上NO.1と言ってもいいほどの身体能力が技術を補ってきた。
目や反応に陰りが見え、一旦、打てなくなると身体能力は関係ないことになる。
プロの世界は新陳代謝を促され、新しい顔が必要だ。
糸井の今の実力で20代なら使われるし、引退はない。
要は、飽きられてしまうということだ。
それなら多少実力が劣っても新しい顔を欲しがる。
同じ実力でもベテランなら晩年とか陰り、といった見方をされるものの、
新顔なら期待大という見方になる。