野球が盛り上がるときは、いつも稀代のスターが時代を牽引する。
戦後間もない頃は藤村がいて、川上と大下。
日本中が貧乏で復興最優先だったから、その象徴としてのヒーローや娯楽を求めた。
野球、相撲、力道山は活力へとつながった。
高度成長期のタイミングには最も適した存在として、スーパースター・長嶋が登場した。
それは時代が生んだスターとも言える。
情報と物質がどんどん豊かになるので、もう長嶋のようなスターは生まれない。
そして同時に現れた王のホームランに驚異を覚え、ONが日本に野球人気を定着させた。
ONが去り、スター不在が長く続くと、他のスポーツの台頭とともに野球人気の衰えが
危惧されることとなった。
そこへ彗星のごとく出現したイチロー。
見たことのないプレーに心を躍らせた。
そして少子の時代に現れたのは、異次元スケールの大谷。
どの時代もその時代に合わせたスターたちが、
戦後復興、高度経済成長、野球人気衰退、少子と時代だからこそ、心を鷲掴みにする。