通算安打を伸ばすには当然ながら、早いうちにプロになることが大きい。
日本ではドラフト制以降は高卒が最も早いと言っていいだろう。
大学から社会人を経ている選手でのでこの時点でヒットの数を増やすには大変となる。
古田はプロ入りが25歳の歳となり、
その上、キャッチャーというポジションがバッティングを困難にさせる。
キャッチャーは自分のことに集中できないポジションだからだ。
ピッチャーのことを考え、ピッチャー一人一人の性格まで配慮する。
ベンチにいる時も自分の打順が回ってくるのがわかっていても
試合の展開、相手打者について、考える。
自分のバッティングについて考えられる時間が極端に少なくなるのだ。
チームの勝利が優先されるので、おのずと相手に点をやらないことに神経は移ってしまう。
そして、キャッチャーは相手バッターのバットが一番近くにあること、
全ての球を受ける機会があること、
昔はクロスプレーに体当たりがあったこと。
怪我が尽きないポジションだ。
インサイドワークや統率力でヤクルト黄金時代を築く大きな原動力となった。
ヤクルトが優勝した年は必ず古田が活躍し、古田が振るわないときは
決まってヤクルトが低迷したことからもそれが言える。
ID野球の申し子と言われたが、野村監督就任によるタイミングも
古田をスターにした大きな要因であり、タレントスター古田の運のよさだ。
また右打者であり、その上、脚がないので、内野安打がまずないことから
しっかり間を抜いたり、遠くへ飛ばしたりしなければいけない。
大学→社会人のプロセス、右打者、キャッチャーでというポジション。
これらの条件の中でヒットを重ねたのは特筆されることだ。
ただ、右左の差や脚の速い遅いというのも個人の能力なので
それをもって不利と言うわけではない。
そして、キャッチャーはケガのリスクはあるものの長くやれるポジションだ。
残念なのは、球団の古田におんぶにだっこのおかけで、
プレーイングマネージャーにさせられたためその選手寿命を短くさせられたこ
と。
選手に専念させていれば、もう少しその熟達したプレーが見られただろう。
一流打者のひとつの基準となっている2000本安打を達成する打者のタイプは
クリーンアップや上位を打つアベレージヒッターが多い。
このタイプはいつでもヒットを狙えばいいことと、宮本のように制約がなく
自由に打たせてもらえるということからだ。
同じクリーンアップでもホームランを求められると、ミスショットが増える。
首位打者経験がないのに名球会入りしている打者は皆、制約なく自由に打たせてもらえる立場だ。
1番打者は足の速い選手が多い。すると内野安打という選択がある。
内野安打は前にランナーがいると、生まれにくいので、1番で打たせてもらえることは、
ヒットを多く打つことができる可能性がある。
しかも、打席が1番多く回ってくる。
自由に打たせてもらえる1番とクリーンアップ。
その中でホームランを期待されない打者。
名球会はこうして作られる。
ただ、当然のことだが、自由に打たせてもらえるだけの実力があると
チーム内に認められていること、そしてホームランを打たなくとも
チームに貢献できる実力があること。
ただ恵まれていたわけではないことは付け加えておく。