スターはあこがれる。なりたいと思う。
星のごとき輝きを持つから。
そして人々がそう思うから、またスターと呼ばれる。
戦後最大のスターは長嶋か。
野球界にとどまらず、すべての分野を見渡しても最大スターとして過言でない。
かつてアメリカのジャーナリストが
野球の本場アメリカにも長嶋ほどのスターは存在したことがない、と言っていた。
長嶋が躍動していた時に憧れた、特に子供たちは、
野球選手になりたかったんじゃない。長嶋茂雄になりたかった。
落合にスターという印象はない。
長嶋を筆頭に王やイチロー、大谷といったスターには皆、憧れ、まねをする。
そうなりたい、と思う。
落合はすごいと思うが、なりたいとは思う人をあまり聞かないように思う。
理由はふたつあると考えた。
ひとつはかっこよくないのだ。
落合の特徴は類まれなバッティング技術だ。
その部分だけは特筆できるが、他の部分ではプロとしては一流とは言えない。
脚は速くなく、守備に華はない。
体も大きくない。
そして走る姿はむしろカッコ悪い。
スターはいろいろなところで華があり、かっこいいのだ。
もうひとつが類まれな技術に加えた、類まれな打ち方のためだ。
あの打ち方をしても打てる気がしない。落合だけの打ち方と思ってしまう。
その技術や打ち方を参考にはするし、どうして打てるのかと考えはするが、
ああはなれそうにない、と思い、真似する気にならないからではないか。