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打者の目線と観客の追う視線のアンバランス

快心の当たりを放った打者がホームランを確信して、打った直後に味方ベンチを指さして

喜びを表現したりする。

この場合は、1塁側ベンチの場合が多かろう。

打った後は、1塁へ走り出すため、ベンチを指さすのは1塁側ベンチの時だ。

3塁側ベンチは1塁へ向かうには後ろになるため、3塁側ベンチにアピールしながら走るとなると

どんどん遠ざかっていくことになるから。

3塁側ベンチの場合でも喜びのあまり、飛び跳ねながら3塁側へガッツポーズを繰り返すという

シーンも目にしなくもない。

 

この1塁側へ指さすシーンの時、たとえば1塁側からのカメラが喜んでいる打者にフォーカスする。

その後ろには3塁側の客席が映る。

この瞬間、観客は打球の行方を追っている。

「行くか?」とか「あっ行った!」という表情で、まず100%近く打球を追っている。

相手ベンチ上だが、ホームランを打った方のチームを応援している人もいる。

だから、万歳しながら笑顔になって打球を追っている顔が皆、同じ目線で映ることになる。

 

ところが、すでにホームランを確信している打者は味方ベンチを指さしているため

打球を追うことはしない。

 

だからここを捉えた一瞬は、歓喜の瞬間で打った打者も観ている客も笑っているのに

見ている先が違うというアンバランスというか、雑多な風景になり、とてもおもしろい。

 

打球が飛んでいる間は、観客はその打球を万歳や笑顔で追うことになり、行きつくまで

打った本人の方を見ることをしない。

その歓喜を生んだ、まさにヒーローである彼を無視して盛り上がっているわけだ。

この数秒間はヒーローを崇めないのだ。

 

スポーツではこのような瞬間が起きうるが、

全てのスポーツの中で、その時間が一番長いのがホームランではなかろうか。

滞空時間という特殊性で結果が確定するまでの時間が一番長いから。

ゴルフのドライバーショットの方が長いか。

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