初場所5日目で、ものいいがついた豪栄道と隠岐の海の一番。
一旦、軍配は豪栄道に上がったが、ものいいの結果、取り直しとなった。
ところが、スロー再生で見ると、明らかに豪栄道が先に手をついていた。
行司は豪栄道有利、ものいいでは同体、再生機で見ると隠岐の海という三様の見方が
できる一番だった。
行司が一旦、豪栄道に上げ、ものいいで協議したのに同体という結論を出した一番なので
豪栄道が手をついた判断がとても難しいと言えるわけだ。
実際に取り組みを見ていた人で、豪栄道が手をついたと判断できた人はおそらく少なかったはずだ。
ところが、スロー再生でそのシーンがはっきりとなると、いきなり正義面で誤審だの、
ふざけんなだの、こんなことやっていたら相撲から離れるだの、死ねとまで言い出す。
野球ではものいい制度としてリクエストが導入された。
プレーが行われた直後に1人の審判が出さなきゃいけない判定を、
あらゆる角度からの再生機を専門家がもう一度じっくり見て、検証することで、
真逆の判定に変わってもいいという制度だ。
それまでは長く、審判の権威などと言い、一度出された判定が変わることはほとんどなかったが、
この制度が導入された途端、それらはなかったかのごとく振舞われ、異を唱えることない方法は
機械を神とすることという常識に移ろい、納得する形となった。
判定で大事なのは、事実を告げるというより、納得が行くものにすることと言える。
相撲で同体の判断をされた時、場内はもう一番観られるので歓迎することが多いが、
厳密に同体というのはないだろう。
野球では、タッチプレーの際、野手の方にボールが届いていてランナーが来るのを待ち構えている
状態で、ベースの所にグラブを置いて待っているような明らかにアウトのタイミングなら
たとえ、タッチの下や横を通って空振りしてもアウトでいい。
第2回WBCの決勝の時、岩隈が同点ホームランを許し、続く打者のレフト戦の打球を
内川が2塁で刺したスーパープレーがこれにあたる。
タイミングは完全にアウトで、ランナーも納得しているのだが、再生機で見ると
ランナーの手が入っているように見える。
明日へつづく。
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