野村は以前、イチロー出現前だと思うが、球界の天才を長嶋と広瀬と言っていたと記憶している。
南海でチームメイトだった俊足選手で、のちに監督も務めた人物だ。
広瀬は野村が盗塁のコツを聞いたら、こうして、こうで、バーンというような表現で
説明すると言う。つまり勘だ。長嶋の擬音で表現するバッティングや守備と同じだ。
これは当時の低いレベルによって、そういう感覚でも通用してしまう。
また、この感覚を言葉や理論にするまでもなく、うまくいってしまうから伝える術を知らない。
当時は盗塁に対する深い考察がなかったのだ。
江本は江夏を天才と言っていた。「江夏は天才ですよ。練習しないんだもの」
本当にそういうことなら、間違いなく天才と言っていいだろう。
たしかに、江夏は、コーラをぐいぐい飲む姿をよく見かけたし、
およそスポーツマンとは思えない腹の出た体型で投げ続けていた。
道具が介在すると道具が代弁してくれるので、練習しなくてもできてしまうことがある。
プロが投げた球でも素人が振ったバットの軌道に 合ってしまえばヒットの可能性がある。
素人が投げた球でもプロがミスしてくれる可能性がある。
道具が多く介在するほどプロと素人に差が付きにくい。
一方、道具を多く使うと、それを使いこなす技術が必要になってくるので
ミスが多くなる。
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