この夏の東京大会では2時間20分を超えたら、新しいイニングに入らないというルールがあった。
本来、野球のルールで時間制限を設けるのはナンセンスだ。
一球、一球に間がある野球では、ボールが動いていない時間の方が長い。つまりプレーをしている時間の方が短いのだ。
だから、考えたり、駆け引きをしたり、読んだり、している時間の方が長い。
したがい、この時間を長く使えば、試合時間は長くなる。
タイムを要求したり、牽制をしつこくしたり、攻守交替をゆっくりしたり、ということで
時間が稼げる。
ピッチャーが投げないと、試合進行ははかどらないから、ボールを持ったピッチャーが時間を
使う権限の多くを持っている。
だから野球は9イニング制を敷いている。時間で区切るゲームとしてそぐわないのだ。
延長戦に時間を用いるのなら、理屈に合う。
延長というのは、その名の通り、予定外の、通常を超えて、特別用意した、とういう意味だから、
9イニングで決着できなかった両チームに責任があり時間で区切って決めますよ、ということだ。
だから、時間制を敷くとリードしたチームは戦略的に逆転されないために、時間稼ぎをすることができる。
タイムの要求、牽制、ピッチャーは長く持つ。
ところが、そういうことをするチームはいない。プロなら当然、戦略に入れてくるはずだ。
10.19の時は、日本中が”早くしろ!”と思っている中、有藤監督は抗議をつづけた。
時間稼ぎを戦略に取り入れているチームは今回の大会ではいない。
彼らの目的はそんなところじゃないということだ。
もちろん、最大の目的は、試合に勝つということだ。
それと同時に、高校野球への完全燃焼がある。
青春を賭けた高校野球に完全燃焼するために、全身全霊で取り組むために、目の前の勝負に集中している。
そのため、時間稼ぎなどの発想に頭は向かない。
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