対戦型のスポーツは失敗を誘うことが正々堂々の勝負であり、そうでない競技は
自分のベストを尽くす、ということのつづきだ。
スピードスケートはタイムの順がそのまま優劣を決めるという方法をとることが多い。
直接対戦するのは2選手のみで全選手が滑り終えた時点のタイムで順を決める。
パシュートも準決勝以降は直接対決でタイムは関係ないとは言え、離れたところで滑っているので
やはりベストの滑りをしてタイムを出したい。
スピードスケートの中でマススタートはタイムの関係ない競技だ。
というより駆け引きしかないと言える競技だ。
相手の出方をうかがって最後に1番でゴールすればいい。
だから周りの体力を奪う駆け引きや相手の力を利用する滑りをする。
マラソンも相手を見ながらレースを進める。
自分のベストを尽くせばいい競技は、相手がいくらすごい技をしようが、今までやってきたことを出せばいいわけだ。
それ以上のことは出来ようがないし、ベストを尽くした結果、勝ち負けがつくだけ。
メダルだのなんだのは結果に過ぎないということがよくわかる事象だ。
自分の最高を発揮して、相手の失敗を願わず、相手にも最高の演技をしてもらい
後の結果はただの結果。
見る方も演技を楽しみ、その緊張を楽しみ、技の美しさを楽しみ、人間の運動能力の可能性を楽しめばいい。
結果は結果。金メダルならそれはそれで喜び、賛辞を贈ろう。
対戦型の野球は相手のスキをついたり、失敗を誘ったり、だましたりという勝負だ。
隠し球をすると卑怯とされるが、それは相手のスキをつくプレーであり、それは
盗塁だって相手にわからないように走るし、配球だってストレートに見せて落としたりする。
試合中ひっきりなしに出されるサインは相手にわからないようなプレーをする伝達だ。
相手がエラーをしたら、つまり失敗をしたら、これ幸いとベースを周りまくる。
左ピッチャーの1塁けん制はホームに投げるふりをしてファーストに投げるという
完全な騙しだが、これはうまいと褒められる。
ショートプログラムで出遅れた羽生は、四回転ジャンプにこだわり、自分のベストを出そうとした。
スノーボード競技でも守りに入らずリスクの高い高難度の技に果敢にチャレンジして
持てるベストを尽くした。この姿に他の選手は共鳴し、一斉に近寄って讃えていた。
カーリングの決勝は、逆転不可能を悟った日本は最後までやらず負けを認め、イギリスチームに近寄って行った。
これはベストを尽くして戦った結果、相手の実力には及ばないと、潔く負けを受け入れ
相手へ敬意を表したわけだ。
スキをついたり、失敗を誘ったり、だましたりする野球だって勝ちたいし優勝したいが、
それよりレベルの高い相手と良い試合をしたいし、今まで見たこともないようなピッチャーと対戦してみたい。
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