毎日野球コラム - 野球コラムサイト -

今年も熱いドラマに胸焦がす101回高校野球

大逆転が起きた東東京大会、小山台-安田学園で

この両者は昨年も激闘を演じていて、それは明日記すとしておきながら、4日後となった。

2019-7-21 今年も人生の意味を教えてもらえる高校野球予選

小山台は今年、第一シードとして、今日準決勝第一試合に登場する。

 

2018年の東東京大会。

安田学園-小山台 8回、レフトポール際の打球のファール判定に小山台から審判へ

確認が入った。審判団協議のあと、ホームランへと覆る。

 

納得いかない安田学園はベンチの背番号10の選手が執拗に主審に確認を続ける。

高野連が審判団に再協議を促し、審判団が再協議の上、出した答えを高野連と再確認の末、

ファール判定に覆る。

ファール判定→協議→ホームラン→協議→ファールへ訂正されるという

高校野球で見たことのないシーンが展開された。

 

ファールを確信する1塁側ベンチの安田学園は、監督が怒りをこめた雰囲気だった。

そこへ10番の選手が主審へ確認する。確認というより完全に抗議だった。

説得しようとする主審に対して、「いや、いやこうでしょ?」

それでも説得しようとする主審に対して、安田学園の選手は膝に手をやり苦笑いで首を振る。

「いや、いや、そうじゃないよ」と言っているようだ。

終盤の1点を争う場面で、確信しているだけに引き下がれない。

 

高校野球には1試合しかないのだ。

安田学園が執拗に、主審に食い下がらなければ、ホームランとなっていた。

最終的にはファールが正しいと審判団が判断したということは、

安田学園が異議を申し出なければ、誤ったまま試合が進んだことになる。

そして、本来、高校野球では許されないはずの抗議が許され、認められたことになる。

 

終盤で僅差のホームランだから、こうなったわけだが、

これなら、ただのアウト、セーフでも抗議が認められていいことになる。

野球は、ひとつのアウト、セーフ、ひとつのストライク、ボール判定が

その後の試合展開を左右するのだから。

 

ライブ中継でのテレビの映像ではファールに見えた。

テレビも誤審がバレかねないからリプレー映像を流さない。

審判団や高野連に配慮してこういう時は静観する。

 

ファール→ホームラン→ファールと変わってしまうということは、

審判の誰もわからないということだ。

審判4人、特に3塁塁審と主審は、おれはこう見えたけど、もうわからないよ。自信はないよ。

どうしよう。リプレー検証できないし...、という状況だったのだろう。

 

それは、仕方ないことだ。

これを審判の能力不足で片付けるのはかわいそうだ。

一瞬の判定を100%正確になど、人間には不可能なのだから。

プロでさえ間違えることを認め、リプレー検証を導入したのだから。

 

両ベンチがファールだ、ホームランだ、と主張する中、協議を必要とするほどはっきりしないのなら

自信をもって一瞬の判断に頼るということは人間の心理としてままならない。

時間の経過とともに、その判断に不安となっていくはず。

 

ホームラン判定となり、安田学園の選手たちがベンチに全員戻ったのは、

抗議の意思、没収試合も辞さないという態度ではないように思われる。

プロでは選手を引上げさせ、抗議の意思を監督が示すが、今回のものは主審への確認中、

暑いからベンチに戻したというものだったと思われる。

 

これを高校生らしくないとか高校野球らしくなく残念と見てもだめ。

責任はかたくなに仕組みを変えず、審判をボランティアに任せ、誤審だらけで100年続けてきた

高野連の方針にあるのだから。

 

これを不安なまま一度出した判定を貫くことを強くとか、

判定が変わることに審判の威厳などと意固地になることもない。

判定は正確のみ是であり、何度も確認し、覆ることは何も問題ない。

正確で納得いく判定を時間かけてでもやったらいい。

審判団に自信がない中、安易な結論に落ち着かせることは、審判団と選手たち、双方に不幸だ。

 

これまで青春を賭けてきた選手たちの努力が一瞬で水泡に帰すことになり、

審判団はのちのちも、後悔や反省にさいなまれることになりかねない。

 

結局、今回のものはリプレー検証が許されていないことから雰囲気で決められた感がある。

球場の雰囲気、両チームの雰囲気、そして、審判の中にもファールに見えたけど、

とかホームランのような…ということで出した判定という印象がある。

だが、ファール判定は正しかっただろう。

 

しかし、高野連が再協議を促した点を見ると、実は見守っていた高野連の人達の大勢が

ファールと見ていたからかもしれない。

もしくは、高野連がリプレー映像を裏で見たからかもしれない。

 

この高校野球では前代未聞の抗議からの判定覆りという現象は、

プロで採用されたリクエスト制度により、覆ることが当たり前となったので

皆、それを容易に受け入れることができるから起きたとも言える。

野球ファンにはその認識ができたからだ。

この流れは行く行く、高校野球にも機械が導入されるかもしれない。

 

この試合では足をつる選手が続出した。

そのため、本来ケガとして認められないが、臨時代走の処置をとったそうだ。

こういう柔軟な姿勢は正確な判定にも取り入れて行ったらいい。

審判をプロにするとか、副審を置くとか、リプレーを取り入れるとか。

 

だが、100年続けてきた仕組みを変えることには高校野球らしくないという見方も出てくる。

なんせ、高校野球は教育の一環であり、

野球の技術向上や野球レベル向上のためにだけやっているわけではないからだ。

また、足がつるのは疲労からであり、過密日程にもメスが入っていくことになろう。

ここでも高校野球ファンからの望みが薄れる。

 

それは真夏の暑い中、酷使して一生懸命やる姿に感動したいという要望だ。

ちなみに、足をつって臨時代走の判断に至ったのは

治療に時間がかかり、中断することへの懸念が影響させた。

別の見方をすれば、その柔軟な判断のせいで

治療の時間が許されないことからプレー続行を断念し、選手交代を余儀なくされ、

そのチームには戦力低下を強いられるという見方もできる。

野球情報メールマガジン

https://twitter.com/yakyucolumn

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

傑作コラム

TOP