勝負に影響を及ぼす、あるいは勝負を決定するホームランやゴールには
その前にそれを引き起こす大きなプレーがあるものだ。
塁間は27メートルほど。
野球の走塁は27メートル先に行けるか、間にあわないか、で判断する。
26メートルまでは行けるからそこまでは行っておこう、という判断は通用しない。
わずか数センチベースの手前でタッチされても、アウトはひとつ増え、ランナーが1人少なくなる。
逆に全く進塁など不可能と最初からあきらめてしまえば、アウトは増えず、ランナーは残り、
進塁を狙った積極プレーによるタッチアウトの時よりは得点確率は高まる。
この判断が勝負に大きく影響を与える。
走塁はスピードがある選手がそれは武器となり、相手に脅威を与えるが、進塁しなければ
それは無意味と言え、鈍足選手と何ら変わらない。
俊足選手が26メートル先まで行けるけど27は無理だから進塁を諦めても、鈍足選手がベースから離れず
全く進塁を諦めても、塁にとどまっているということは変わらないのだ。
走塁とは27メートル先まで行けるかどうかなのだ。
したがい走塁はスピードより判断が大事となる。
自身の走力と相手の守備の力量を一瞬で判断して27メートルの差を埋めるか、とどまるか。
この判断が優れていれば、スピードがなくても好走塁を生むし、逆に速いばかりで
判断を誤っていれば、宝の持ち腐れとなる。
この時の持ち腐れはいつも先の塁を狙ってばかりいる俊足ランナーがよくアウトになる、という事に限らない。
俊足ランナーがギリギリにでも間に合う走塁を選択せず、いつも安全な選択ばかりして
塁にとどまっていることも持ち腐れだ。
判断が甘く、先に進まないということは鈍足がやることと変わらないのだから、チームの武器にならないし、
勝利をたぐりよせられない。
これが野球の走塁ルールのおもしろいところだ。
陸上は前にだけ自分の最大スピードで走ればよい。
サッカーやラグビーもどこまでも走ってよい。
野球は1塁へは思い切り走っていいが、その先は間に合うか間に合わないかで決め、
ベース毎に区切りがあり、そこまで思い切り走って、また休んで、もしくは突っ切ってを繰り返す。
走者にとってはベースという安全地帯に早くたどりつきたい。
この他のスポーツには見られない走塁のおもしろさを明日また取り上げる。