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作戦がルールにまで昇華した敬遠Ⅱ

ルールに組み入れるのに合理がない申告敬遠。

それなのになぜこの申告敬遠と呼ばれるルールが採用されたのか。

2023-6-4 作戦がルールにまで昇華した敬遠

 

敬遠は守備側が選択する作戦であり、歩かせたい。

主に相手打者を抑えるのにおぼつかない時、勝負を避ける手段だ。

本当はフォアボールとは守備側へ与えるペナルティのはずなのに、

あえてそのペナルティを受けても得をする、と判断しているわけだ。

 

一方、攻撃側はこれを防ぐ手段がない。

本当は勝負してもらいたいと思っていても、相手がボール球を投げれば、

いかに強打者と言っても打つことはかなわない。

だから見逃すしかない。

 

以前はタイトル争いの際、敬遠合戦などがあった。

打者はどうすることもできないから、抗議の意味を込めてバットを放り投げ、

不満をあらわにしていたものだ。

長嶋はバットを持たずに打席に入って抗議の意志を示したほど。

 

敬遠は打者にはどうしようもないのだ。

だから守備側が敬遠と決めてしまえばフォアボールが確定してしまう。

つまり結果が分かっているから意味のない時間なので、いちいちやらずとも一塁へ行け、

ということになり申告敬遠が生まれた。

 

本来、ルールに組み入れる必要がない敬遠という戦術をルールとした合理はこれだ。

敬遠は作戦だったのに、申告敬遠としてルールに組み入れられたのだ。

 

ところで申告敬遠はルールでは申告故意四球と言うようだ。

守備側の監督が四つ指を立てれば、それは勝負をしないことを意味して場内には「申告故意四球」と表示される。

なるほど敬遠と言うのは俗称だ。

ルールではなく、わざと歩かせるという作戦が生まれ、名付けたところがが「敬遠」。

この現象にこの名がふさわしいとなったわけだ。

 

だから正式には「敬遠」とは使わない。

「敬遠」が俗称なら一般には多く使われる「申告敬遠」も俗称ということになる。

そこで「敬遠」とは正式には「故意四球」なので「申告敬遠」は「申告故意四球」という名になったわけだ。

 

ところが申告し、故意ではあるものの、四つの球を投じていないから、

これは「四球」、つまりフォアボールが正式名称でいいのか。

 

「四球」は四つのボール球が重なることで名付けられたのだろう。

だから「四球」と同じ現象である打者へのテイクワンベースでありながらも

俗称である敬遠の方が、この新ルールの呼び名としてはあてはまるように思われる。

「敬遠テイクワンベース」だ。

 

「四球」、「フォアボール」は四つのボール球を投じての現象を超え、

打者テイクワンベースそのものを「四球」ということになり、四つ投じるかどうかはどうでもよくなったのだろうか。

本来の名付けを超越したルールということだろうか。

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