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踏絵となったホームベース キャッチャーは衝突よりホームベースが怖くて近づけない

新ルールとして導入されたコリジョンが話題となり、

前回は、コリジョン以前にもルール変更や仕組みの変更により

野球の質までも変えてきた過去の例を引き合いに出した。

 

前回までに統一球、圧縮バット、消音バット、18.44Mについて触れた。

その内容は5月16日5月17日5月18日

 

道具を使うスポーツは

その規格を変更すると、当然それまでとは試合内容が変わる。

そもそも試合の内容を変えるために、わざわざ規格を変更するのだから。

これにより、選手は今までの技術に手を加え、対応していく必要が出てくる。

規格の変更により生きる技術を持つ選手、

逆に日陰に追いやられる技術を持つ選手が出てくることになる。

 

福岡ドームが客席を増やし、

最大5メートル、ホームランフェンスが狭くなったのは最近のこと。

5メートルの差は野球の質をまったく違うものにする。

本拠地としているソフトバンクの選手、

特にピッチャーは、死活問題と感じた選手は多いはずだ。

 

そもそも競技場の大きさに決まりがないなんて野球くらい。

おかしなスポーツだ。

 

さらにエキサイティングシートやウィングシートと呼ばれる

ファールゾーンを狭める客席が用意された。

プレーの幅が広がり、醍醐味が増すのなら問題ない。

しかし、こういった球場作りのトレンドは明らかにミーハーだ。

 

エキサイティングやウィングは

グラウンド目線で臨場感のあるプロの野球が見られるというメリットはある。

しかし、それ以上にファールゾーンを追いかけ、内野手や外野手の

スピードと捕球テクニックを堪能する機会を奪った。

また、より近い場所で見られるという本来の目的は、

臨場感のある野球を楽しむということだったはず。

 

臨場感とはプロのスピードや豪快さ、そして野球にとって不可欠な

駆け引きと間合いのことだ。

 

その本来の目的に真っ向反するグローブを持つ客の入場。

駆け引きと間合いに一球、一球に集中していたら、

ファールボールを捕ろうなどという気力は起きない。

そこは守っている選手が行うことであり、そのプレーを楽しむはずだ。

そしてファールボールを取りたい一心の客と内川がぶつかり

内川はけがをした。

 

観客におもねり、ミーハーなつくりにより

本末転倒の選手のけがが起きた。

 

そして仕組み変更では天下の愚策クライマックスシリーズ制度が誕生した。

長いシーズンでプロは全部勝とうとは思わない。

3連戦勝ち越しをめざし、週6戦で4勝2敗なら上等。

そうすれば翌週は3勝3敗で十分。

2勝4敗でもまだ5分にもどっただけなので仕切り直せばいい。

しかし、クライマックスがあることにより、ハナから優勝など目指さず、

シーズン通して5分の戦いをするチームもいることになる。

リーグ制覇チームにシーズン中、全て負けても

日本シリーズには出られる可能性が大いにある上、

(クライマックスシリーズがなかった頃は、こんなチームが日本シリーズに出場はまず無理だったはず)

負け越しても日本一になる可能性がある

(2016年も従来のままだと思われる。2013年広島、2015年阪神は負け越し)

理論としておかしいこの仕組みのせいで、

高度な技術のぶつかり合いを避けるという行為が起き、

野球の質を落としている可能性がある。

ハナから相手にならないソフトバンクには勝ちに行かず、

主力ピッチャーをあてなくなる。

 

もう、興業として不足しているなら

140試合以上を戦うペナントレース自体の方を見直さなければならない。

 

さらに今は、交流戦がある。

パ・リーグが強い最近は、セ・リーグのチームがここで黒星を重ねる。

すると、セ・リーグにはシーズン勝ち越しチーム不在となりかねない。

さらにそのセ・リーグの全負け越しチームの3位チームが

セ・リーグ代表として日本シリーズに進出し、セとパの実力差が開いているのに、

日本シリーズの短期決戦でセ・リーグが日本一になるかもしれない。

パ・リーグに行ったらAクラスにすら入れないセ・リーグのチームが

優勝してしまうかもしれないのだ。

明らかに実力があるチームが優勝チームでないという

もう、どこが本当に強いチームなのかわからないという現象だ。

 

いままでに挙げたルール変更や仕組みの変更により

野球の質を変え、さらに発展を堰き止めてきたかもしれない。

 

今回のコリジョンは衝突禁止というファンや選手を気使った。

しかし、ルール設定はNPB、使用は現場に任せっきりとしているため

審判がもっとも窮地に立たされている。

また、このルールの内容からして衝突防止の目的以外のところに

影響が出るのが最初からわかっていたにもかかわらず、

本番まで持ち越してしまった。

 

昨日、小林のプレーはアウトでいいと言った。

これからは、確実に見直されていくルールだ。

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